謎多きニャンコの起源…古来より日本人に密着し暮らす「猫」たちはいつ、どこからやってきたのか?
日本列島に広まった猫の謎
猫が好きではなくても、あるいは家で猫を飼っていなくても、周囲で猫を一度も見かけたことがないという人は少ないと思います。それくらい日本の猫は、古来から人々の生活に密着して暮らしてきました。
しかしその起源については、長い間謎に包まれており、はっきりとした解明がされていませんでした。それが、最新の遺伝子情報の解析により少しずつ明らかになってきています。
最新の研究成果によれば、日本の猫の「祖先」が本格的に渡来したのは平安時代のことだそうです。場所は九州で、大きく増え始めたのは鎌倉時代に入ってから。
そしてその後は、日本列島を北上するように広まったというのです。
皆さんもご存じの通り、日本列島には、現在でも多くの猫が生活しています。しかし彼らがどのようにして日本に広まったのかについては長らく謎のままでした。
猫は野生種でもあるため、その謎を解くには、自然界での移動・増殖のメカニズムについても研究する必要があります。この難しい課題が、最新研究によってようやく解かれ始めたのです。
平安時代の九州への渡来先述した通り、日本の猫の祖先は平安時代の九州に本格的に渡来したとされています。
確かに平安時代といえば、外国との交流が盛んに行われ、多くの文化や品物が海を越えてもたらされた時代でもあります。その中に猫が含まれていたことは十分考えられます。
また九州は、古代からの交通の要所であり、外国からの文化の影響を受けやすい地域でもありました。今でも、港町というのは異国情緒のある独特の空間としてイメージされることが多いですね。
南九州地域の国際物流拠点である鹿児島県・志布志港。平安時代からの歴史を持つ
さて、鎌倉時代は武士の時代として知られていますが、その隆盛とともに猫も広まっていったと考えられています。
野生の猫は、農作物を害する害獣でもありましたが、一方で、ネズミを捕ってくれる益獣としての性格も備えていました。そのため、農村地域や城下町などで猫の需要が高まり、増加したのでしょう。
これが、鎌倉時代以降、日本列島を北上するように猫が広まっていった大きな理由です。
またこれに伴い、地域ごとに猫の形態や特徴も変化していったのでしょう。日本の気候や風土に適応するために、猫の遺伝子も変化していったと考えられます。そこで、遺伝子研究によって猫の起源をたどることが可能になったのです。
写真家の岩合光昭は「人が猫を選んだのではなく、猫が人を選んだのかも知れない」と述べたことがあります。少しでも猫に馴染んだことがある人なら、大きく同意するのではないでしょうか。
日本の猫たちがどこからやってきたのかを突き止めることは、図らずも日本人の文化を再確認するためのきっかけになるかも知れませんね。
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