能登半島地震を乗り越えて新たな挑戦ー輪島の漆芸作家スザーン・ロスさん個展開催 2/15~18長野県東御市、3/8~17大阪市東住吉区 (2/4ページ)
「私は漆に、日本人の美意識や、自然を敬って自然と共に生きて来た日本人のこころを感じるのです」
そんな漆が、いま日本人の生活から消えようとしています。漆のお椀や器は、便利で安いプラチック製品に取って代わられ、漆職人も、その仕事を支える漆採りの職人やその道具を作る職人も、もうほとんどいません。消えてしまったら、もう取り戻せない。日本人がそのことに気づいていないことが、私は心配でなりません。
日本の文化は、『世界のお兄ちゃん』です。こんなに平和で、調和とバランスを大切にしてきた文化は他国にはありません。世界はいま調和を失い、暴力がはびこって、おかしくなってしまっています。人類が人間らしい心を取り戻すための鍵が、日本の伝統文化の中にあると思うから、それを日本人に取り戻してほしい。そして世界に教えてほしいのです。」
2024年1月の能登半島地震で家も、多くの作品も失った
スザーンさんが漆に携わって34年。輪島の古民家を自分たちの手で美しく改装し、大切に暮らしてきた家と、そこに隣接する工房は、元日のたった60秒に満たない間に残酷にも壊れてしまいました。
工房にいたスザーンさんは、「私は投げ飛ばされそうになったので、安全のために中央の柱につかまりましたが、私の足の間で地面が開き、柱を支えていた石のブロックがどんどん開いていく隙間に消えていきました。ガラス張りの正面ドアは前後に揺れ動き、今にも私の上に落ちてきそうでしたた。轟音と粉砕音がして、どうやって外に出たのか全く覚えていません」
震災の日の夜、「その夜は星がとてもきれいで、今まで見た中で一番明るかった。しかし、朝市通りでは火が絶え間なく燃え続け、輪島の空は真っ赤だった」と語っています。
スザーンさんの再起、輪島の復興、漆文化の復活を目指して
家を失い、作品を失い、いまは手に入らない道具や、さまざまな漆を失ってもなお、作品を作りたいというスザーンさんの思いはいまも消えることがありません。
スザーンさん自身が新たに漆芸作家として再び活躍できるために、そして輪島塗の復活の為に、急遽、長野と大阪で作品展を開くことになりました。