熱い恋する万葉人♡私は命も惜しくない…『万葉集』より熱い熱い恋心を詠んだ歌を紹介
みなさんは、『万葉集』と聞くとどのようなことを思い浮かべるでしょうか?自然を詠んだ歌、旅の歌、恋の歌など、さまざまなものがありますよね。
恋の歌は成就しなかった切なさやつらさを詠んだものも多いですが、今回は『万葉集』ではめずらしい、熱い熱い恋心を詠んだ歌を一首ご紹介したいと思います。
いったいどのような人物が、誰のことを思って詠んだ歌なのでしょうか?
『万葉集』は、現存する日本最古の歌集です。古代律令国家の形成期、奈良時代にあたる7世紀後半から8世紀後半にかけて編さんされました。約4500もの歌が収められており、全部で20巻というボリュームになっています。
作者層の幅広さと、歌が詠まれた地域の広さも特徴です。天皇や皇后といった高貴な人々が詠んだ歌もあれば、地方で暮らす農民が詠んだ歌もあります。また、東北から九州のあらゆる地域が歌に詠まれています。
今回ご紹介する歌は……今回ご紹介する歌は、『万葉集』巻の9、1769番、
「かくのみし 恋しわたれば たまきはる 命も我は 惜しけくもなし」
「かくのみし」は「このように」、「恋しわたれば」は「想いが切れることなくずっと恋しく思っていること」という意味があります。その想いの強さを、「命もわれは惜しけくもなし」で表現しています。
つまり、自分の命も惜しいとは思わない、ということですね。「たまきはる」は「命」の枕詞にあたります。霊魂のきわまる命と訳されることもあります。
全体を通して現代語訳すると「こんなにもひたすらに恋しく思っているのだから、命も私は惜しくはありません」といった意味になります。なかなか情熱的な歌だと思いませんか?
この歌を詠んだ人物は……上記の歌を詠んだのは、抜気大首(ぬきのけだのおびと)という人物です。氏・名ともにめずらしく、なかなか初見では正しく読めませんよね。実は、先ほどご紹介した歌と他の2首が同じく巻の9に収められています。
これらの歌3首は、いずれも抜気大首が筑紫に赴任している際、豊前国の田川に住む女性を妻にしたときに詠まれたとされています。ちなみに、この女性は紐児(ひものこ)という人物で、現地の遊女だという説や、主人を世話する下働きの村の娘という説などがあります。
いかがでしたか?この記事が、みなさんが少しでも日本文化や歴史の面白さに興味を持つきっかけになれば嬉しいです。
日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan

