これが江戸時代の「推し活」だ!愛する推しに金・時間・情熱を注ぐのはいつの時代も同じ

Japaaan

これが江戸時代の「推し活」だ!愛する推しに金・時間・情熱を注ぐのはいつの時代も同じ

アニメの登場人物やアイドルなど、自分のご贔屓を「推し」と呼び、ライブや舞台を観に行ったりグッズやDVD・CD・写真集などを買ったり、ファンクラブに入ったりなど、いろいろな応援をする「推し活」

以前は「オタク文化」の一環といわれていましたが、今では普通にメディアや企業のPR活動でも使われ、「推しチョコ」「推しコーデ」などの言葉もたくさん登場しています。

「推し活」は、インターネットが普及して情報が素早く入手できる現代ならではのように思えますが、江戸時代も盛んに行われていました。

歌舞伎役者に熱狂する「推し活」

 身分の高い家のお嬢さんのイメージ「江戸名所百人美女」

テレビや映画がない江戸時代、「歌舞伎」はそのドラマティックな内容はもちろんのこと、贔屓をしている歌舞伎役者への「推し活」も流行りました。

歌舞伎役者のルックス・声・演技力・セリフの言い回しなどによって、それぞれファンが付き、ファンクラブのようなものもあったそうです。

カメラもビデオもなかった江戸時代、贔屓の推しに直接会いに行くためにファンは芝居小屋に通いました。現代のように電気などない時代、芝居小屋では自然の太陽光をライトにしていたために、開演時間は陽がのぼる「明け六つ」(午前6時ごろ)で、終演時間は陽が沈む「暮れ六つ」まででした。

推しに会いにいくためには、まだ空は暗くやっと東から太陽が登り始めた明け方から身支度をしないと間に合わなかったようです。

現代でも共通していますが、もしかしたら推しに見られたりひょっとして言葉を交わせる機会があるかもという期待もあり、またほかのファンには負けたくないという思いもあり、女性たちはお化粧をしていい着物をきて髪を整えて……と気合いを入れて目一杯オシャレをしていたそうです。まったく今と変わらないですね。

芝居小屋で高級な「座敷席」を愛用する上級武士の奥方・大店のお嬢さん・御殿女中などお金持ちのいわゆるセレブたちは、芝居が終わったあとに酒宴を開いて、そこに贔屓の歌舞伎役者を呼ぶこともあったそうです。

三代目歌川豊国 画『踊形容江戸繪榮』 

推しグッズは色鮮やかな「役者絵」

 歌川豊斎「木村長門守 市川左団次」

現代のように写真のポスターやDVDなどのグッズがない江戸時代でも、推しグッズはもちろんありました。

一番ポピュラーな推しグッズは、人気絵師が役者を描いた「役者絵」。役者の似顔絵や舞台で演じている姿などだけではなく、役者の日常を描いたものもあったそうです。

また似顔絵が入った団扇や扇子などの小物もあったとか。役者絵やグッズ類をあれこれ買って、大切に保管してときどき愛でては推しへの想いを育てていたのでしょう。

今のようにリアルな姿がわかる写真や動画などがない分、役者絵を見つめながらあれこれと想像を膨らませながら、胸をときめかせていたのかもしれません。そんな想いは現代とはちっとも変わらないようです。

推しとお揃いのものを身に付けることも

 「三升紋」九代目市川團十郎

また、江戸時代には大好きな役者とお揃いのものを身に付けるという推し活もありました。役者の家にはそれぞれの家で用いている紋「定紋」があり、また役者個人も「役者紋」もありました。

たとえば当時大人気だった市川團十郎。「荒事」と呼ばれる芸が得意で、派手な柄の衣装と隈取で男らしく迫力のある演技は、当時の女性たちのハートを鷲掴みにしていたそうです。

その市川團十郎の家紋が「三升紋(みますもん)」というもので、大中小の三つの四角い升が入れ子になって重なっているモダンな図柄です。現代でもこの紋を使ったグッズはありますが、当時も推しの紋を使ったアイテムを身に付けて舞台を観に行ったファンは多かったそうです。

現代では、アイドルがそれぞれ「メンバーカラー」を持っていて、ファンはライブのときに推しのメンバーカラーのペンライトや団扇を振ったりしています。

 「役者当世団扇」歌川国貞

江戸時代の推し活をみると、インターネット・カメラ・動画などのツールはないものの、愛する推しを応援し身近に感じていたいという想いは、まったく現代と同じことがわかりますね。

日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan

「これが江戸時代の「推し活」だ!愛する推しに金・時間・情熱を注ぐのはいつの時代も同じ」のページです。デイリーニュースオンラインは、庶民文化江戸時代歌舞伎カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る