紫式部に酷評された清少納言は意外と奥ゆかしかった?藤原斉信とのこんなやりとり【光る君へ】 (2/3ページ)
ある時のこと。藤原斉信から、清少納言の元へこんな便りがよこされました。
蘭省花時錦帳下
【意訳】今や都は花盛り。
これは白居易(はく きょい。白楽天)の詩集『白氏文集(はくしもんじゅ)』より採られた一節。これに対する句を答えよと言うのでしょうか。
もちろん、清少納言は答えを知っていました。
廬山雨夜草庵中
【意訳】いっぽう私は雨の夜、廬山の粗末な庵に独り。
しかし、これをそのまま答えたのでは芸がありません。
しかも、わざわざ筆をとって麗々しく真名(まな。仮名=ひらがなに対して漢字のこと)を書き散らしては、誰かさんが黙っていないでしょう(面識がないので意識してもいないでしょうが)。
そこで清少納言は、火鉢の消し炭をとって斉信がよこした紙の余白に、あえてつたなくこう書きました。
草の庵を 誰(たれ)かたづねむ
【意訳】こんな寂しい所に、誰が来てくれると言うのでしょうか。
これは藤原公任の和歌集『公任集』より。この和歌から採りました。
九重(ここのへ)の 花の都を おきながら
草の庵を 誰か訪ねむ
【意訳】花盛りの都に行かず、寂れた草庵など誰が訪ねるものでしょうか。
