清少納言の随筆『枕草子』題名に込められた意味とは?とある和歌に隠された彼女の真意【光る君へ】 (2/3ページ)
誰かが見れば言葉が過ぎて傷つけてしまうかも知れないから、ここに書いたことはここだけの話にして、表面上は清くソツなく取り繕いたい。
それでも「涙せきあへず(涙をせき止め切れない)」と歌に詠まれるように、やるせない思いがあふれてしまうのだ。
……竹を割ったような性格で、いつも明るく振舞っている清少納言。
ちょっと一言多くて毒舌だけど、裏表が(あまり)ないから憎めない。
そんな彼女がいつも抱え続けている胸中を、ふと垣間見るような一節です。
枕だけが知っている涙の意味
在りし日の定子。『枕草子絵詞』より(画像:Wikipedia)
ちなみに「涙せきあへず」という言葉は、こちらの和歌に由来します。
枕より 又しる人も なきこひ(恋)を
涙せきあへず もらしつるかな※『古今和歌集』巻13恋歌3・平貞文
【意訳】この恋を知っているのは、私の枕だけだ。誰にも知られてはならないこの恋心をおさえ切れず、今日も私は枕を涙に濡らしてしまうのだ。
「なきこひ」が(知る人も)無き恋と、泣き恋にかかっていますね。
誰にも言えない恋だから、昼間は必死に堪えているけど、夜は独りで枕を濡らす情景が目に浮かぶようです。
涙とあふれる胸中の真意を知っているのは枕だけ。