室温で何時間も溶けないアイスクリームの開発に成功。秘密はあの成分だった

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室温で何時間も溶けないアイスクリームの開発に成功。秘密はあの成分だった
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 暑い夏の日、ひんやりと冷たいアイスクリームを食べるのは最高のひと時だ。だがどうしても、溶けてしまうのが玉にきず。特に野外でアイスクリームコーンを食べるときなんか、早く食べないとポタポタと流れ落ち、手がベドベドになってしまう。

 だがもしかしたら、近い将来その弱点は克服されるかもしれない。常温でも数時間は溶けないアイスクリームが開発されたのだ。

 その秘密は、あの天然の抗酸化物質「ポリフェノール」だ。これをアイスクリームに混ぜると、溶けるスピードが遅くなり、室温に放置しても何時間も形が保たれる。さらにはクリーミーな食感も維持されるという。

・お口で溶けて、室温で溶けないアイスクリーム
 ウィスコンシン大学マディソン校の研究者は、「普通のアイスクリームならあっという間に溶けてしまいますが、ポリフェノール入りのアイスクリームは、室温で4時間以上も形を保てます」とプレスリリースで話す。

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・溶けないアイスクリームの秘密はポリフェノール
 ポリフェノールは、酸化を抑えて健康効果があることで知られる天然成分だ。

 赤ワインや緑茶、ルイボスティーなどに豊富に含まれることで有名だが、じつのところほとんどの植物にはこれが含まれており、その苦味や色に影響を与えている。

 また一口にポリフェノールと言っても、自然界には5000種類以上もある。

 上に挙げた飲み物以外にも、たとえばコーヒーや紅茶にも入っているし、トマトやホウレンソウ、ブドウやブルーベリーといったさまざまな野菜・果物にだって含まれている。

 その健康効果もよく知られており、血栓の予防・血糖値の維持・有害な腸内細菌の除去といったものから、脳の働きをよくする、がん細胞の成長を阻害する可能性といったものまで幅広い。

 だが、今回の注目したいのは、ポリフェノールをアイスクリームに混ぜると、その厚みと粘度が増すという意外な効果だ。

 これはポリフェノールがアイスクリームの脂肪分子を囲むタンパク質に作用するためだ。

 それによってペプチド(アミノ酸がつながってできる分子。タンパク質を構成する)と結合し、タンパク質とポリフェノールの大きな複合体を形成する。

 このときポリフェノールは脂肪とタンパク質との間にネットワークを作っており、溶けた氷の流れに抵抗するのだという。

 だからアイスクリームはポタポタと垂れることなく、いつまでも形を維持することができる。

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左がポリフェノールなし、中央が少量のポリフェノール、右が多めのポリフェノールを入れたアイスの溶け具合・ポリフェノールを入れることで溶けにくくなり食感も保たれる
 研究チームは次のような実験で、ポリフェノール配合アイスクリームの溶けにくさを実際に確かめてもいる。

 ビーカーの上に金網を吊るし、そこにアイスクリームをおく。あとはしばらく放置して、ビーカーに溶け落ちたアイスクリームを測るだけだ。

 その結果、普通のアイスクリームは、完全に溶けるまで約2時間だったのに対して、ポリフェノール配合アイスクリームは、4時間経っても金網のうえにあったという。その間に溶けた量は、総重量のたった10%だけだ。

 しかも、ただ溶けにくいだけでなく、ポリフェノールが氷の結晶化を防ぐことで、アイスクリームの滑らかでクリーミーな舌触りがいつまでも保たれたという。これはアイスクリームの品質維持の役にたつ。

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アイスクリームにポリフェノールをさまざまな分量で配合し、その溶けにくさを確かめる。その結果、室温で何時間も溶けないものもあったという/Image credits: Michael King・味に関しては不明
 ただし肝心のお味はどうかというと、はっきりしたことは語られていない。溶けないアイスクリームを作るために必要なポリフェノールの量が明かされていないからだ。

 ポリフェノールは渋みや苦味の成分でもある。だから、もしかしたらの溶けない代わりに、赤ワインやコーヒーのような渋さが出る可能性もある。

 実際、その点を研究チームも指摘しているのだが、今回の実験で味の検査は行われていないため、具体的なことはわからない。

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・従来の安定剤よりも優れている
 なおアイスクリームには、その品質や食感の維持や賞味期限をできるだけ長くするために、「グアーガム」や「カラギーナン」といった安定剤が使用されている。

 これらは自然界に存在する物質だが、とりわけ劣化したカラギーナンについてはその安全性に議論があるところだ。

 例えば2015年の研究によると、カラギーナンは炎症を起こしやすく、腸への毒性や関節リウマチといった症状を引き起こす可能性が指摘されている。ただしこの研究結果には異論もあるので実際にはまだよくわかっていない。

 そのようなわけで、より安全・安心な安定剤が求められるわけだが、その点さまざまな健康効果で知られるポリフェノールなら問題ないといったところだろうか。あとはいかにおいしくできるかが、商品化の鍵を握っていそうだ。

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References:Bringing delight by investigating a no-melt ice cream / written by hiroching / edited by / parumo



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