【海外秘境生活レポ】マイナス20度!極寒都市暮らしの暖房事情

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朝晩は家の中でも冷え込みます。暖房をつけていてもなんだか寒くて、厚手の靴下やレッグウォーマー、着る毛布は欠かせないという人、多いのでは。

首都圏や関西圏の冬の気温は、冷え込むときでも1℃や2℃ですが、世界には「冬の間はずっとマイナス気温」「マイナス30℃〜40℃になる」という国や都市もあります

筆者が現在住む都市もそのひとつ。極寒地域にある住宅の暖房事情を紹介します。
ロシア、中央アジア旧ソ連圏諸国(CIS)の暖房事情
筆者が暮らすキルギスは、中央アジアの東側の山岳地帯にあり、首都ビシュケクの標高は800メートル。冬場は冷え込むときでマイナス20℃前後。昨年はマイナス30℃近くになった日もありました。

旧ソ連圏なので、ソ連時代の無骨なアパートが今でも多く残っているほか、郊外には一戸建てが並びます。


▲Photo by Rie Kanno


ソ連時代からのアパートは公営のセントラルヒーティング完備。建物内に張りめぐらせたパイプを温水が通り、その熱が室内を温めるという仕組みです。

温水は政府の供給。熱源となる温水は火力発電所で作られ、地下のパイプを通って市内を循環し、各アパートのセントラルヒーティングに供給されます。

11月前後になるとセントラルヒーティングが稼働しはじめ、セントラルヒーティング代は公共料金と合わせて請求されます。筆者が住むビシュケクでは、2DKでひと月約1,100円ほどでした(2023年年末)。

ビシュケクには新しい高層マンションも建築されていますが、それらはマンションごとのセントラルヒーティングまたは床暖房になっているようです。

一戸建ての場合、温水セントラルヒーティングや床暖房、ペーチカ(ペチカ)と呼ばれるストーブと、それぞれ暖房システムが異なります。



私が現在ホームステイしている家庭は、ガスを熱源とする温水セントラルヒーティング。友人の家は電気の床暖房とオイルヒーターを兼用、別の友人宅は石炭をペーチカで燃やすそうで、一冬分として、なんと2トンもの石炭を購入したそう!

「それでも足りなくなるから、追加で購入すると思う」と話していました。

外はマイナス20度でも住宅の壁はぶ厚く気密性が高いので、家の中はとても暖かいです。ロシアや中央アジアの旧ソ連諸国も、暖房事情はほぼ同じ様子。けれど暖房費には地域差があります。

モスクワ郊外にある旧ソ連時代のアパートに住む友人は、「冬の暖房代はひと月1万円くらいする。とても高い」とのことでした。
遊牧民の家、ユルト

▲Photo by Rie Kanno


モンゴルやキルギス、ウズベキスタンなど遊牧民の国に伝統的に伝わる可動式住宅のユルト(モンゴルではゲル)。極寒の地において、ユルトの中でどのように暖を取るかといえば、ペーチカです。

山奥にあるユルトに宿泊した際の燃料は、馬の糞を乾かしたもの。そもそもは草なので嫌なニオイもせず、よく燃えてユルトの中はポカポカでした。

生活の中で編み出された知恵のすばらしさを実感した瞬間でした。
韓国は床暖房


お隣の国、韓国はシベリア高気圧から吹き込む冷たい季節風により、冬の寒さが厳しくマイナス10度を下回ることも。

韓国人の友人によると、ソウルの住宅は基本的にどの家も床暖房。床下に張られたパイプをガスボイラーで沸かしたお湯が循環する方式です。

暖房費もとても安く、ひと月600円くらいだと話していました。

韓国の床暖房システムを高く評価しているのがカザフスタンで、カザフスタンの新しい住宅は、多くが韓国式の床暖房を取り入れているのだとか。
フィンランドの暖房費って?


北欧フィンランドの集合住宅も温水工場で作った温水が各家庭に供給され、温水のセントラルヒーティングで暖めるシステムが主流だそう。

フィンランドの首都ヘルシンキに住む夫婦から

「フィンランドは電気代が無料なんだよ! 無料にしないと電気代を払えない人が凍えちゃうから」

と聞いていたのですが、よくよく調べてみると、賃貸住宅ではセントラルヒーティング費が家賃に含まれているケースが多いそうです。そのため、暖房代を気にする必要がないということ。

感覚的に「実質無料」なのでしょうね。
外は寒くても家の中は過ごしやすい


首都圏で生まれ育った筆者にとって、マイナス「ウン十度」の世界はまったく想像できない未知のもの。暖房がどうなっているのか、家の中は実際どのような感じなのかが疑問でした。

けれど住んでみると、さすが寒い国だけあって暖房システムはもちろん、「家の中で暖かく過ごせる工夫」があちこちにちりばめられていてとても快適。

特に集合住宅の温水セントラルヒーティングはとても素晴らしいです。極寒の地の冬、意外と東京より暮らしやすいかもしれません。
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