冬の「室内寒暖差」解消方法を2人のプロが伝授!手軽に快適あったか空間を作ろう
まだまだ寒さの厳しい冬。冷え切った体で暖かい部屋に戻ってホッと一息ついたものの、しばらくするとどこかひんやり感じる…という経験をしたことはありませんか?
窓やカーテンをしっかりと閉じているのに、なぜか隙間風が吹き込んでいるような寒さを感じたり、顔だけ熱くなって下半身が寒かったり……。
このような「室内寒暖差」をどう対策すればいいのか。住環境の専門家とエアコンのプロに、解決策を伺いました。
窓から部屋内の約半分の熱が失われることも?「窓付近」でできる対策
窓付近でできる寒暖差対策を教えてくれたのは、東京大学大学院工学系研究科建築学専攻の前真之准教授。
出典:プレスリリース
「窓ガラスは、熱の流出が住宅の中で最も多く、無断熱の窓がある部屋ではエアコン暖房をつけていても約半分程度の熱が窓から出ていきます。また、外の冷たい空気の影響も受けやすいです。そのため、窓付近の対策が重要です」(前先生)
一番良いのは内窓をつけることですが、そこまでの予算がない場合は、以下の方法がおすすめとのこと。
ポリカーボネート板を貼る
出典:プレスリリース
ホームセンター等で購入できるポリカーボネート板を貼ることで、簡易的な内窓をつけた状態となります。
窓ガラスとポリカーボネート板の間にできる空気の層が冷たい外気を遮断し、室内の暖気を逃しにくくするのだそう。
同研究室が実施した試験によると、ポリカーボネート板を窓に貼ることで、熱の流出量を53%も減らせることがわかりました。
断熱性の高いカーテンかハニカムスクリーンをつける
出典:プレスリリース
また、厚みがあり、裏地がついているカーテンや、生地の断面が蜂の巣状になっているハニカムスクリーンも、高い断熱性と保温効果があるのでおすすめ。
ただしどちらも長さが足りないと下の隙間から冷気が部屋に侵入してしまうため、窓全体を覆える長さのカーテンやハニカムスクリーンを選びましょう。
断熱シートや気泡緩衝材はあまり効果がない
出典:プレスリリース
ちなみに、よくある透明の断熱シートを貼る方法では、あまり断熱効果は期待できない結果が出たそうです。
同試験によると、断熱シートや気泡緩衝材では通常の窓に比べ、熱の流出量をそれぞれ8%、18%しか減らせなかったそう。
手軽にできる方法なので、この結果にはちょっと残念…!
エアコン&サーキュレーターで対策
エアコンの効果的な使い方について教えてくれたのは、三菱電機株式会社 空調冷熱システム事業部の久田優美さん。
「顔まわりは熱いのに足元が寒い」という室内寒暖差は、暖かい空気が上に滞留し、部屋全体にうまく行きわたらないのが原因。エアコンとサーキュレーターの使い方を工夫することで解消できるのだとか。
風向は60°以上「下向き」に、風量は「強め」に設定
出典:プレスリリース
エアコンの風向は下向きに設定し、床をつたって暖かい空気が部屋に広がるようにしましょう。
また、風量が弱すぎると、温風が床付近に届く前に舞い上がってしまうため、やや強めに設定すると良いでしょう。
サーキュレーターを併用し、部屋全体の空気を循環させる
エアコン暖房とサーキュレーターを併用すると、天井付近に溜まった暖かい空気を部屋全体に循環させることができます。
併用する際は、サーキュレーターをエアコンの対角線上に置き、エアコンの吹き出し口に向けて風を送りましょう。
サーキュレーターをエアコンの対角線上に設置できないときは、部屋の中心に置いて真上に風を送るのもおすすめ。床付近の冷たい空気を上昇させることで、空気の循環が生まれます。
エアコン暖房の暖かい空気があたる場所に家具を置かないようにする
出典:プレスリリース
吹き出し口の下に家具があると、エアコン暖房の暖かい空気をさえぎり、部屋全体に暖気が行きわたりづらくなります。
また、暖かい空気は軽いため家具にあたった暖気は舞い上がり、そのまま部屋の上部に溜まって天井付近と床付近で温度差が発生します。そのため、家具の配置場所を工夫するのがおすすめだそう。
「なるべく暖気をまんべんなくお部屋に行きわたらせることが重要です。空気の特性を理解し、エアコンの機能やサーキュレーター等を上手に使って部屋の中の温度ムラを解消しましょう」(久田さん)
布団の中と部屋の寒暖差対策
出典:プレスリリース
放射冷却により、気温は深夜から明け方にかけて最も低くなります。断熱性能が低い家や、エアコン暖房を寝るときに消す場合、寝室の温度も大きく下がってしまいます。
「布団の中と寝室の温度差を解消するには、就寝時は『エアコン暖房を一晩中つけておく』のがおすすめ」と久田さん。
つけたままにすることで室温が一定に保たれ、夜中のお手洗いや朝布団から出るタイミングでも、寒暖差が発生しづらいのだとか。
「電気代が気になる人は、就寝前に『起床1時間前、室温18~23℃』でタイマー機能を設定することをおすすめします。朝起きて布団から出る際の寒暖差を減らすことができます」(久田さん)
ちょっとした工夫と手間で、今よりもっと快適に
家具の配置を変えたり、ポリカーボネート板やサーキュレーターを使ったりと、ちょっとした工夫で今使っているエアコンでもさらに快適な暖房が可能です。
これらのアイテムは夏の断熱や冷房効率のアップにも使えるので、年中使えるのも嬉しいポイント。
「冬の自宅の快適指数を上げたい!」という方は、ぜひご参考に!