瀬川(小芝風花)との初恋実らず…失意の蔦屋重三郎(横浜流星)は実際に誰と結婚していた?【大河ドラマべらぼう】
NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」皆さんも楽しんでいますか?
第9回放送「玉菊燈籠(たまぎくどうろう)恋の地獄」では、20年越しで自身(てめぇ)の想いに気づいた蔦重こと蔦屋重三郎(横浜流星)が、幼なじみの瀬川(小芝風花)へそれを伝えました。
しかし時すでに「遅かりし由良之助」。老獪な松葉屋夫婦から現実を突きつけられ、五代目”瀬川”の名跡を背負った彼女は、鳥山検校(市川隼人)の身請け話を受けてしまいます。
吉原遊女への折檻はどんなものがあった?足抜の現実…ほか【大河べらぼう】3月2日放送の解説&振り返り20代も半ばの遅すぎる初恋に破れた蔦重には、早く立ち直って欲しいものですが……。
ところでそんな蔦重は、誰と結婚するのでしょうか。今回は蔦屋重三郎の妻子について紹介したいと思います。
実名不詳の妻。そして子供は養子一人?
北尾重政『絵本吾妻抉』より、恵比寿様を拝む蔦屋重三郎一家。右の子は妻が生んだ実子?
蔦屋重三郎の妻は実名不詳。今回の大河ドラマでは「てい(橋本愛)」という役名が発表されました。
江戸市中に店を構える本屋の娘で、真面目な堅物キャラとして登場する予定です。
べらんめえ気質な蔦重とは反りが合わなそうな「てい」。しかしこの一見相反する二人が、本を愛する情熱を通じて惹かれあっていく展開こそ、今後の見せ場となっていくのでしょう。
ちなみに他の小説や映画では「トヨ」という役名が与えられていますが、どちらも創作なので、気にすることはありません。
蔦屋重三郎の妻は文政8年(1825年)10月11日に亡くなったとされ(正法寺の過去帳より)、錬心妙貞日義信女(れんしんみょうてい にちぎしんにょ)という戒名が伝わっています。
本作における役名「てい」は、この妙「貞」から採ったのかも知れませんね。
ただし俗名(ぞくみょう。生前の名前)から一字を戒名に入れる時は、たいてい日「義」の部分に入れます。
※余談ながら、筆者の祖父や曽祖父もそうなっていました。
なので蔦屋重三郎の妻について、戒名から実名を推測するなら「義」の方が近い(可能性が高い)でしょう。
その場合、彼女の名前は「よし」または「よしこ(義子)」等ではないかと考えられます。
蔦重の子供に関する記録は少なく、二代目蔦屋重三郎を襲名した番頭の勇助(ゆうすけ)を養子にした他は、実子に関する確かな記録はないようです。
『絵本吾妻抉(えほん あづまからげ)』によると蔦屋重三郎は恵比寿講(ゑびすこう)を開き、妻子(と思われる)と共に商売繁盛・豊作・豊漁を祈願する様子が描かれていました。
この絵を見ると、まだ子供が幼いため、妻が生んだ実子かも知れません。
とある女性との会話また『艶本枕言葉(つやぼん まくらことば)』では、蔦唐丸(蔦屋重三郎の歌号)と女性のやりとりが描かれており、この女性も妻(又は別の遊女)ではないかと考えられています。
二人の枕元には蔦唐丸へ宛てた手紙(から丸様 赤良)があり、差出人は四方赤良(よもの あから)こと大田南畝(おおた なんぽ。蜀山人)。狂歌師らしく、こんな狂歌が添えられていました。
しめて:閉めて、湿って 中:部屋の中、男女の仲 からまる:絡まる、唐丸しめて寝る 二人が中の 二重帯
とけてからまる 夜半のむつごと※四方赤良
最後の「むつごと」は睦言(男女の会話)と六ツ刻をかけたかと思いましたがどちらも夜半(よは。真夜中)ではないため、穿ちすぎでしょう。
そんな狂歌と共に、こんなセリフが記されています。
女性「人のいふ事もききもしねへで、そんならどうとも好きにしたがいひ(人の言う事も聞きもしねえで、そんならどうとも好きにしたが良い!)」
唐丸「モウあやまりあやまり。よくふくれるやつの。こふいふ所をうた丸にかかせてへ(もう謝り謝り。よくふくれる奴の。こう言う所を歌麿に書かせてえ)」
女性「これさこれさ、じやうだんじやァねへ。月成さんのとこからなんといって来た。そしてねぼけさんハいつこよふといはしった。(これさ、これさ。冗談じゃあねぇ。月成さんの所から何と言って来た?そして寝惚さんはいつ来ようと言わしった?)」
月成とは朋誠堂喜三二(平沢常富)のこと、寝惚さんとは寝惚先生こと四方赤良を指します。
……これだけだと、妻とも何とも言えませんね。
月成さんと寝惚さんは彼女のお客?とすれば、遊女と考えた方が妥当なのでしょうか。
蔦屋重三郎の妻・基本データ
実名:不詳
役名:てい、トヨ 等
性没:生年不詳~文政8年(1825年)10月11日没
出自:不詳(江戸の本屋?)
伴侶:蔦屋重三郎
子女:男児?(『絵本吾妻抉』より)
養子:勇助(二代目蔦屋重三郎)
戒名:錬心妙貞日義信女(れんしんみょうてい にちぎしんにょ)
墓所:正法寺
終わりに
今回は蔦屋重三郎の妻・ていについて、その人物像を探ってみました。
謎の多い彼女ですが、果たしてNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」では、橋本愛がどんな妻を演じるのでしょうか。
夫婦での活躍が楽しみですね!
※参考文献:
安藤優一郎『蔦屋重三郎と田沼時代の謎』PHP研究所、2024年7月 太田記念美術館学芸部編『蔦屋重三郎と天明・寛政の浮世絵師たち』浮世絵太田記念美術館、1985年2月日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan
