桜はなぜこうも日本人の心を打つのか?日本古来からの美意識「もののあはれ」に深く響きつづける桜 (2/4ページ)
実際に、ヤマザクラやカスミザクラといった原種は、縄文時代以前から日本列島に自生していた形跡があります。
つまり、桜は“持ち込まれた外来種”ではなく、もともと日本の自然にあった存在です。しかし、その桜が「特別な花」「春の象徴」として強く愛されるようになったのは、奈良時代から平安時代にかけての文化的変化がきっかけでした。
奈良時代には、中国の影響を色濃く受けた貴族文化が中心にあり、花といえば「梅(うめ)」がもてはやされていました。『万葉集』でも、梅の歌は桜の歌よりも多く収録されています。
ところが平安時代に入ると、日本人はしだいに自分たち独自の文化を大切にするようになります。これを「国風文化」と呼びます。この文化の中で、桜は「日本らしさ」を象徴する花としての地位を築き始めました。
その魅力の核心にあるのが、桜の持つ「はかなさ」です。桜は咲いてからわずか数日で散ってしまう――その短く、鮮やかで、消えていく様子が、日本人の美意識である「もののあはれ」に深く響いたのです。
この感性は文学にも現れています。