今年の夏は「祇園祭」を極めよう!前半クライマックスの前祭山鉾巡行・神幸祭までの行事と日程を一挙紹介
夏の京都を舞台に繰り広げられる、八坂神社の祭礼で日本三大祭りの一つ「祇園祭」。
そのハイライトは、7月17日と24日に行われる山鉾巡行(やまほこじゅんこう)と思われがちですが、実は祭りは7月1日から31日までの1か月間にわたって執り行われ、その間、さまざまな神事が粛々と催されます。
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今年の夏は「祇園祭」を極めよう!日本三大祭りの一つ「祇園祭」ってどんなお祭り?その歴史を中心に解説今回は、「祇園祭」の前半のクライマックスである前祭山鉾巡行と神幸祭までの行事と日程についてご紹介します。
神事や行事は一般の人も見られるものがありますので、下記の日程の中から興味があれば、ぜひ京都に赴いてみましょう。
「吉符入り」から「綾傘鉾稚児社参」7月1日(火)、待ちに待った「祇園祭」が初日を迎えます。
1日(火)~18日(金)まで、各山鉾町にて「吉符入り」が行われます。この行事は、“神事初め”の儀式ともいえるもので、各山鉾町において行われる祭礼奉仕の決定や神事の打ち合わせです。この「吉符入り」が行われるといよいよ「祇園祭」が始まります。
そして1日(火)は午前10時より、長刀鉾町の関係者がこの年の稚児を連れ八坂神社に参拝し、神事の無事を祈る「長刀鉾町お千度」が行われます。
また、この日の夜から各山鉾町の町会所の2階では、祇園祭独特のお囃子の稽古である「二階囃子」を開始。練習開始日、時間などは山鉾町により異なるものの、おおよそ午後7時から9時過ぎまで行われ、道行く一般の人にも披露されます。「コンチキチン」の音色が流れ始めるといよいよ祇園祭が始まったという実感がわきてきますね。
2日(水)は、午前10時に山鉾の巡行順を決める「くじ取り式」が、京都市役所市会議場にて開催されます。いくら「祇園祭」が京都らしい雅なものであってもそこはお祭りです。どの山鉾が先陣を切るかの争いが絶えなかったと言われています。そこで、応仁の乱からの巡行復興を果たした1500(明応9)年に「くじ取り式」で山鉾巡行の順番を決めたのです。
当日は京都市長立会いの下で、各山鉾町の代表者が参加。くじ取らずの10基の山鉾を除いた24基(前祭18基・後祭6基)の山鉾巡行順を決めます。「くじ取り式」終了後、山鉾町の役員は八坂神社にて結果を報告し、本殿でお祓いを受ける「山鉾町社参」を行います。
3日(木)は午前10時より、船鉾の御神体・神功皇后が身に付けるお面である神面の無事を確かめる儀式「神面改め(しんめんあらため)」が船鉾町で斎行されます。羽織袴姿の関係者らが見守る中、船鉾の役員は口に懐紙を咥え、木箱から新旧の面を取り出し、無言のまま掲げて周囲に披露。ちなみに古い神面が本面で室町期、新しい神面が写し面で江戸期に制作されたものです。
両神面の無事が確認されると新旧の面は元の木箱に戻されます。祇園祭山鉾巡行(前祭)の際には、神功皇后像には写し面が付けられ、本面は木箱に入れられたまま人形殿といわれる役員が首に掛けて船鉾に搭乗するとされます。
5日(土)の午後3時30分頃から、長刀鉾町の町会所2階では、この年の稚児が関係者の前で稚児舞(太平の舞)を披露する「長刀鉾町長刀鉾稚児舞披露」を開催。その後、町会所2階の窓を長刀鉾に見立てて、四条通に向けて一般に稚児舞が披露されます。
7日(月)の午後2時から、八坂神社にて「綾傘鉾稚児社参」が行われます。顔を真っ白に化粧し、金色の烏帽子に狩衣姿の綾傘鉾稚児6人が役員とともに八坂神社に社参し、神事の無事などを祈願するのです。
「前祭 山・鉾建て」から「久世駒形稚児社参」10日(金)~14日(月)の期間、前祭各山鉾町にて「前祭 山・鉾建て」が行われます。山鉾建てでは17日(木)の祇園祭山鉾巡行(前祭)に先立って、収蔵庫から取り出した部材を、釘を1本も使わず、荒縄などによる縄絡みといわれる伝統技法で組み立て、懸装品などを飾ります。
この山鉾建ては、大型の山鉾(長刀鉾・函谷鉾・鶏鉾・菊水鉾・月鉾・放下鉾・岩戸山・船鉾)は、10日(木)・11日(金)から組み立てが始まりますが、山鉾によって日程が異なるので事前にチェックしましょう。
また10日(金)の午後4時30分から「神輿洗」の神輿を出迎えるために祇園囃子の音色に合わせて、金獅子・銀獅子・稚児武者などの提灯行列である「お迎え提灯」が、八坂神社を出発し氏子区内の街中を練り歩きます。
そして、20時頃からは神輿を神用水で洗い清める行事である「神輿洗」を斎行。大松明を担ぎ、八坂神社から四条大橋まで往復する先祓いの後、神輿は四条大橋まで出され先回しが行われ、この時の松明の燃え残りを持ち帰ると、盗難除け・厄除けになるといわれています。
12日(土)・13日(日)の両日は、祗園囃子の音色の中、山鉾巡行に先立って、組み立てられたばかりの山鉾を本番さながらに曳く「前祭山鉾曳き初め・山舁き初め」が行われます。
12日(土)の山鉾曳き初めは、午後2時から函谷鉾(かんこほこ)、2時30分から鶏鉾(にわとりほこ)、午後3時から月鉾(つきほこ)・菊水鉾(きくすいほこ)、3時30分から長刀鉾(なぎなたほこ)が曳かれますが、予告なく変更・中止の場合があるので注意しましょう。また、12日(土)~16日(水)の夕刻より山鉾上では囃子が行われ、山鉾町は祭りの雰囲気に包まれます。
13日(日)の午前11時からは「長刀鉾稚児社参の儀」を斎行。立烏帽子水干姿の長刀鉾の稚児が、従者である禿(かむろ)を従え、白馬にて八坂神社を訪れる行事です。
この日から稚児は、正式には地面を踏むことができなくなり、「強力(ごうりき)」と呼ばれる男性が稚児を担いで馬に乗せます。この儀式は俗に「お位もらい」ともいわれ、稚児は八坂神社でお祓いを受け「五位少将十万石」と同じ格式を授かります。これは山鉾巡行(前祭)の際、稚児が長刀鉾の上から貴人を見下ろしても不遜にならないようにとの配慮から。
この日から稚児は、巡行まで精進潔斎の生活に入り、女人禁制のしきたりに従い、世話の一切は男性が行います。稚児の食事は母親に変わり父親がつくり、女性は一切同席することができません。祭にまつわることもすべて、男性の役員が世話をすることになるのです。
同じく13日(日)の午後2時からは、八坂神社にて「久世駒形稚児社参」 が行われます。久世駒形稚児は、17日(木)の神幸祭と24日(木)の還幸祭における神輿渡御で、素戔嗚尊を祀る神輿の中御座の行列に伴って廻る稚児です。
稚児は綾戸国中神社の御神体で、馬の首の形を模した「駒形」を胸にその形代(かたしろ)をかけます。
これにより稚児は神の化身及び神そのものとみなされ、五位の位を授けられた長刀鉾稚児や皇族でも、乗り物から降りなければなりません。神である稚児は、八坂神社の境内に馬を乗り入れ、直接本殿に乗り付けることができるのです。
つまり、八坂神社の和御魂と綾戸国中神社の荒御魂が合体してはじめて祇園祭が成立すると考えられ、それほど久世駒形稚児は重要な存在ということができます。
「前祭宵山」から「前祭山鉾巡行」「神幸祭」14日(月)~16日(水)の期間、前祭各山鉾町にて「前祭宵山」が行われます。宵山は、祇園祭のメインとなる山鉾巡行の3日前・前々日・前日の総称で、前祭宵山では町会所に人形や懸装品を飾り、粽やお守りを授与します。
山鉾には駒形提灯が灯され「コンチキチン」の音色の祇園囃子が奏でられ、夕刻より四条通や烏丸通の山鉾町一帯は歩行者天国となり、多くの露店が出て、賑やかなお祭りムード一色に。
一方、後祭宵山は、歩行者天国や露店の出店はなく、「祇園祭」本来の幻想的な雰囲気のなか、落ち着いてお祭りに浸ることができます。
15日(火)は早朝より、高橋町により「斎竹(いみたけ)建て」が行われます。「斎竹」とは、山鉾巡行で長刀鉾の稚児が切る注連縄を張るための青竹で、四条麩屋町にたてられます。
巡行当日に、長刀鉾稚児がこの注連縄を太刀で切る「注連縄切り」という行事が行われ、華やかな山鉾巡行がスタートするのです。
そして同じく15日(火)の午後8時になると、八坂神社にて「宵宮祭」が斎行されます。境内の灯を消した浄闇の中で白装束の神官たちにより、3基の神輿(中御座神輿・東御座神輿・西御座神輿)に、素戔嗚尊(スサノオノミコト)・櫛名田比売尊(クシイナダヒメノミコト)・八柱御子神(ヤハシラノミコガミ)の神霊を遷す神事です。
巡行前日の16日(水)の午後9時より八坂神社にて、表千家家元と裏千家家元が隔年奉仕により、境内の井戸水・祗園神水を使い、濃茶・薄茶を点てて神前に供える「献茶祭」が行われます。
さて、17日(木)の午前9時から、前半のハイライトともいうべき「前祭山鉾巡行」がスタートします。四条烏丸を出発し、長刀鉾を先頭に23基の山鉾が四条通・河原町通・御池通を巡行。
巡行中にくじ改めが行われ、京都市長が大紋烏帽子姿の奉行に扮し、くじ取り式で決定した巡行順位に従い順位を正します。そして、午後2時頃にはら長刀鉾稚児が八坂神社を訪れ、授かった正五位少将・十万石大名の位を返す、お位返しの儀が行われます。
また、同日午後4時より、八坂神社の本殿から神霊を遷した3基の神輿が、四条寺町の御旅所まで渡御する神事「神幸祭(しんこうさい)」および「神輿渡御(みこしとぎょ)」が行われます。
この神事と、24日に行われる「還幸祭(かんこうさい)」こそが、「祇園祭」のメインともされる重要な行事です。午後6時には八坂神社の石段下で出発式が行われ、6時半頃に3基の神輿が石段下で差し上げられたのち、それぞれ異なるルートで氏子町を巡りながら四条御旅所を目指します。
さて、「祇園祭」前祭の山鉾巡行および神幸祭までの行事と日程をご紹介しました。それぞれの神事・行事にはとても重要な意味があり、すべてが揃ってこそ「祇園祭」が成り立ちます。
次回は、18日(金)から31日(木)までの「祇園祭」後半の行事と日程をご紹介しましょう。
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