第10回「斎藤茂太 旅の文学賞」授賞式のお知らせ (3/5ページ)

バリュープレス




[最終選考委員]
下重暁子(作家・日本旅行作家協会会長)
椎名誠(作家・日本旅行作家協会副会長)
大岡玲(作家・東京経済大教授)
芦原伸(ノンフィクション作家・日本旅行作家協会副会長)
  

[第10回「斎藤茂太 旅の文学賞」受賞作]
『観光地ぶらり』橋本倫史(太田出版)


 [総評]
最終選考委員 下重 暁子(作家・日本旅行作家協会会長)
最終候補に残った3作品のうち、文学としての完成度が最も高かったのは『観光地ぶらり』だった。著者は旅とは何かについて考察し、その本質を追い求めている。取り上げたのは自分の趣味に合った場所なのだろうか、ちょっとひとくせあったり、ひねりがきいていたりして興味深い。そのとりあげ方が実に見事。椎名さんが「日本を改めて見直す機会をつくってくれた」と評されたが、まったく同感である。3人の著者の中では最も若く、今後の可能性を感じる。ただ、本のタイトルがよくないのも選考委員の一致した意見だった。
候補作『テヘランのステキな女』は、彼地に女子相撲競技があると知って旅に出た活発な作家のレポートだ。女性蔑視の国のなかで活動するさまざまな女性群像にインタビューを重ね、興味深い。ただせっかく「女性」をテーマとしたのだからジェンダーの視点をもっと掘り下げるべきではと思った。『インド工科大学マミ先生の ノープロブレムじゃないインド体験記』も前者と同じく体験記であり、傾向は似ている。インドはさまざまに語られているが、滞在した者では知りえない珍妙プロブレム体験はそれこそ驚きの連続でインドを知らない人はもちろん、知る者にも共感を呼ぶ部分もあって楽しく読ませていただいた。ただ旅行記というより体験記と言っていい内容で、その点受賞作に及ばなかった。


[橋本倫史氏プロフィール]
1982年東広島市生まれ。物書き。著書に『ドライブイン探訪』(ちくま文庫)、『市場界隈 那覇市第一牧志公設市場の人々』、『東京の古本屋』、『そして市場は続く 那覇の小さな街をたずねて』(以上、本の雑誌社)、『水納島再訪』(講談社)がある。
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