あなたもいかが?歴史上の権力者たちを虜にしてきた香木『蘭奢待』の香りを現代に再現【奈良・正倉院】

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あなたもいかが?歴史上の権力者たちを虜にしてきた香木『蘭奢待』の香りを現代に再現【奈良・正倉院】

織田信長をはじめ、数々の権力者が截香(※)してきた香木・蘭奢待(らんじゃたい)。現代も奈良の正倉院で保管されています。

(※)せっこう。香木を切り取って香りを聞く儀式。特に貴重な香木については、権力を味わう目的がある。

一体どんな香りがするのか、そもそもどこからやって来たのか……私たち一般庶民にとっては無縁の存在でしたが、今回の最新調査でその謎が解明されました。

今回はそんな蘭奢待の謎に迫ってみたいと思います。

※合わせて読みたい:

織田信長も虜にした伝説の香木「蘭奢待」(らんじゃたい)はなぜそこまで特別視されていたのか?

蘭奢待の基本データを確認

蘭奢待。各部が切り取られている(画像:Wikipedia)

まずは蘭奢待について、基本データをまとめておきましょう。

香木の種類:不詳(ジンチョウゲ科アクイラリア属・同科ギリノプス属) 命名の由来:東大寺という漢字を隠した、言葉遊び 命名の理由:東大寺に火をつけるのは縁起が悪いため、もじった 史料の初見:『新札往来』貞治6年(1367年) 生育地域:東南アジア(インドシナ半島)の山岳地帯(ラオス?ベトナム?) 生育時期:8世紀後半~9世紀後半(西暦750~900年ごろ) 採取時期:宝亀3年(772年)~元慶9年(885年)ごろ 香り部位:材内師部(二次成長時に生じる内部組織)の損傷部から沈香が生成 主な成分:3-フェニルプロピオン酸 香り成分:ラブダナムなど 截香箇所:38ヶ所 截香回数:約50回(同じ個所を繰り返し切り取り) 主な截香者:足利義満(室町3代将軍)・足利義教(同6代将軍)・足利義政(同8代将軍)・織田信長・明治天皇など

沈香(じんこう)とはジンチョウゲ科の樹木が傷ついた際に生成された樹脂を指し、沈香という名前の樹木がある訳ではありません。また、すべての原木が香りを発する訳でもないようです。

またインドシナ半島産の沈香をシャム沈香(シャムはタイ王国の別称)、インドネシア産の沈香をタニ沈香(パタニ王朝に由来)と呼び、それぞれ香りに個性があります(シャム沈香は甘め、タニ沈香は苦め)。

蘭奢待の香りを現代に再現

現代科学を駆使して、蘭奢待の香りを再現(イメージ)

ラブダナムとはシストローズ(シスタス・ラブダニファー)の樹脂から抽出され、濃厚な甘さと力強いスモーキーな香りがアンバーグリスを思わせます。

ただし蘭奢待の香りはそれだけでなく、いくつかの成分が混ざり合っていたため、調香師(香料調合の専門家)がその再現に挑戦しました。

ラブダナムの香りをベースとして、バニラ系の甘い香りとアニス系のスパイシーな香りを融合。こうして蘭奢待の香りを令和21世紀に再現したのです。

……黄熟香一名蘭奢待。少々粉を火に入れたところ、香気軽く清らかにして、誠に微かな香りあり……

※蜷川式胤ら『奈良の道筋』明治5年(1872年)

そんな「軽く清らか」な蘭奢待の香りが、上野の森美術館で開催中の特別展「正倉院THE SHOW-感じる。いま、ここにある軌跡―」で体験できるそうです。

※開催期間は令和7年(2025年)9月20日(土)~11月9日(日)。

同会場のミュージアムショップでは「蘭奢待香りカード」も販売され、自宅や好きな場所で蘭奢待の香りを楽しめます(何だか、すごい時代になりましたね)。

※関連記事:

幻の名香「蘭奢待」の香りが楽しめるフレグランスカード登場!「正倉院 THE SHOW」東京会場限定

かつて信長や明治天皇が味わった蘭奢待の香り。皆さんもこの機会に、楽しんでみてはいかがでしょうか。

※参考:

香木「蘭奢待(らんじゃたい)」の香り成分や年代が判明、正倉院 足利義政や織田信長も切り取った?…天下の名香「蘭奢待」、原木は772~885年頃に伐採か倒木 大橋一章ら『正倉院宝物の輝き』里文出版、2020年10月

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