「べらぼう」斎藤十郎兵衛とは何者?春町先生への後悔に視聴者歓喜!12月7日放送回を解説
前回のラストでいきなり登場した「傀儡好き」こと一橋治済(生田斗真)……のそっくりさん、斎藤十郎兵衛(生田斗真)。彼を替え玉にして、治済を政治的に抹殺しまおうと言う作戦が、蔦重(横浜流星)に明かされます。
毒をもって毒を制するため、蔦重は上様すなわち徳川家斉(城桧吏)を巻き込むことを提案しました。庶民に「分を守れ」と言うなら、上様にだって「分を守っていただきたい」……この正論に、松平定信(井上祐貴)はぐうの音も出ません。
果たして替え玉作戦はみごと成功。茶室の心理戦を制した家斉はまんまと治済を「封印」し、阿波国へと追放してしまいました。
これでお城のことはめでたしめでたし……定信は国許へ帰る前に「一度来てみたかったのだ」と蔦屋耕書堂を訪れ、心ゆくまで大好きな黄表紙を買い漁ります。そして自ら死に追いやってしまった恋川春町(岡山天音)の死について「唯一の不覚」と詫びを入れるのでした。
永らく対立していた両者が和解……した訳ではありませんが、物語も最後の山場を乗り越えたようです。
それでは今週も第47回放送「饅頭(まんじゅう)こわい」気になるトピックを振り返ってまいりましょう!
斎藤十郎兵衛とは何者?
生田斗真演じる斎藤十郎兵衛。NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」公式サイトより。🄫NHK
今回「替え玉」として登場した斎藤十郎兵衛は、劇中で紹介された通り阿波国・蜂須賀家お抱えの能役者です。しかし彼が一橋治済と容姿が似ていたという記録はなく、替え玉作戦は成立しないでしょう。
斎藤十郎兵衛は謎多き絵師・東洲斎写楽の正体として知られていますが、写楽は喜多川歌麿(染谷将太)はじめ複数の絵師たちによるチーム名説が採られていました。そのため、本作では斎藤十郎兵衛が登場しないのだろうと思っていました。
それがひょっこり生田斗真が一人二役で登場。予想してなかった展開に「そうきたか!」と膝を打った視聴者も少なくなかったことでしょう。
リカバリー力に欠ける定信
これまで自分が推し進めてきた「理想」のしっぺ返しを受ける定信。NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」公式サイトより。🄫NHK
前回の曽我祭りで毒饅頭の返り討ちを受け、辱めを受けてしまった定信。次いで清水重好(落合モトキ)を取り込んで家斉にアプローチを仕掛けるも、治済に阻止されてしまい……なかなか上手く行きません。
「失敗を恐れていては、大事を成し得ない」その心意気は立派ですが、計画が狂った時のリカバリーまでは考えが回っていなかったようです。
これまで自分が推し進めて来た「理想」のしっぺ返しを連続で受けたことが、国許で名君として開花する素地を培ったのかも知れませんね。
徳川家斉、ついに決断!
ついに真実を確信してしまった家斉。NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」公式サイトより。🄫NHK
側室・梅の方(真性院・水野忠芳女。未登場)が亡くなり、清水重好の夢枕に亡き徳川家治(眞島秀和)や徳川家基(奥智哉)が立ったなど、かねて疑念を抱え続けていた家斉。父・治済は強引に説き伏せますが、どうしても不安はぬぐい切れません。
そこへもたらされた亡き大崎(映美くらら)の遺書。彼女の悲痛な訴えに、とうとう家斉は父を排除する決断を下したのでした。
前回、蔦重へ意味ありげに代金の包みを渡したのは、この伏線だったのですね。
毒を以て毒を制した茶室の陰謀
家斉が飲んだ茶なら大丈夫だろうと油断する治済。NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」公式サイトより。🄫NHK
さて、いよいよ計画を実行するべく清水家の茶室へ。家斉と治済の父子対決が静かに幕を開けました。今回のサブタイトルが「饅頭こわい(落語)」なので、渋いお茶でオチをつけようと言うのですね。
差し出されたお茶菓子……当然治済は「腹の具合がよくない」と口をつけません。そりゃそうですよね。今まで多くの人を毒殺させてきた張本人ですから、疑心暗鬼になるのは当然でしょう。
隣に座る家斉に食べるよう促しますが、我が子に毒見をさせる神経はさすが……人の親とは思えませんね。しかしこれには毒が入っておらず、家斉は治済の分まで美味しくいただきました。
そしていよいよ本番のお茶。これは回し飲みするため、よもや毒は入ってなかろう。そうタカをくくって、家斉の次に飲み干しましたが……。
「もろともか!」お茶には毒が入っており、家斉そして治済も倒れてしまいます。
筆者はこの場面を見ながら「治済が疑って食べないであろう茶菓子には解毒剤が入っており、茶席ゆえに飲まざるを得ないお茶に毒が入っていて、治済だけが死ぬのだろうか」と予想していましたが、ただ眠るだけの毒(睡眠薬)だったようです。
定信らの「どんな外道であっても、上様に親殺しの罪を着せてしまう訳にはいかない」という忠義と、蔦重の「自分の計らいで人が死ぬのは嫌だ」という主人公らしい配慮でした。
「笑うことができれば…」春町先生への後悔に視聴者歓喜
素直に言えない定信。NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」公式サイトより。🄫NHK
かくして幕引きとなった写楽騒ぎ。蔦屋は営業を再開し、国許へ帰る前に定信が立ち寄りました。かねてから憧れてはいたものの、対立していた立場上素直になれず、
イキチキドコキキテケミキタカカカッタカノコダカ
(一度来てみたかったのだ)
と意味不明な呪文を唱えます。さっぱり意味が通じていないものの、素直に言うつもりなど毛頭ありません。
「……春町は我が神、蔦屋耕書堂は神々の集う神殿(やしろ)であった。あのことは我が政(まつりごと)、唯一の不覚である」
そう言って視線を恋川春町の作品『鼻峰高慢男』『金々先生栄花夢』『長生見度記』の札に向けます。
「……あがった凧を許し、笑うことができれば……全てが違った」
定信もまた、かつて春町を自害に追い込んでしまったことを、深く悔やんでいたのでした。
自分に対する風刺を笑って受け容れることができれば、蔦重たちとの対立もなかったし、愛してやまなかった戯作者を喪うこともなかったのです。また恐らくは幕閣らとの対立そして惨めな失脚も……。
そんな定信の後悔に接して、春町先生も浮かばれたことでしょう。
次週はいよいよ最終回「蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)」!
最終回「蔦重栄華乃夢噺」。NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」公式サイトより。🄫NHK
写楽絵を出した後も、精力的に動いていた蔦重(横浜流星)だったが、脚気の病に倒れる。病身ながら仲間と共に書を以って世を耕し続ける蔦重だったが、ある夜、夢をみて…。
※NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」公式サイトより。
これまで1年間追い駆け続けた大河べらぼうも、次週でいよいよ最終回。予告を見たところ、最後はみんなで泣き笑いながら屁!コールで蔦重をお見送りするようです。
果たして蔦重は最期にどんな夢を見るのか……姿を消した源内先生や瀬川なんかもみんなみんな登場してしまうのでしょうか。
吉原の拾い児から身を立てて日本橋の書肆にまで大出世を遂げた蔦重栄華乃夢噺、どんなフィナーレが用意されているのか、次週も楽しみにしています!
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