忍者の最強条件=無名であること!貴重な忍術史料『万川集海』が説く上忍・中忍・下忍の違い

Japaaan

忍者の最強条件=無名であること!貴重な忍術史料『万川集海』が説く上忍・中忍・下忍の違い

忍者ファンであれば、一度は上忍(じょうにん)・中忍(ちゅうにん)・下忍(げにん)という言葉を聞いたことがあるかと思います。

この上中下とは、忍者の身分やランクを示す言葉と思っていませんか?筆者は思っていました。

【上忍・中忍・下忍の違いイメージ】

上忍:作戦指導部/達人の域 中忍:現場指揮者/熟練の域 下忍:現場作業員/未熟な新米

……のようなイメージでしょうか。過去こういった説明をしている書籍も読んできましたが、実際は違うようです。

そこで今回は江戸時代前期の忍術書として知られている『万川集海』より、上忍・中忍・下忍の区分について紹介したいと思います。

※忍者に関する人気記事:

戦国時代、忍者が本当に使っていた「忍び六具」とは?派手さゼロなのに恐ろしく実戦的なリアル装備

戦国時代にハニートラップを仕掛けた伝説のくノ一「初芽局」!女忍者の悲しい末路

忍者に最も大切なことは

イメージ

『万川集海』によると、上忍とは「人の知る事なくして、巧者なる」忍者を指しました。身分には関係なく、あまり人から知られておらず、忍術に巧みな者を指して上忍と呼びます。特に「人に知られていない」ことが重視されたようです。

こう聞くと「忍術に巧みなことはもちろんだけど、人に知られている≒評価されている方がよくないの?」と思ってしまいがちですが、それは筆者のような素人考え。忍者たちにとって、自分の名前や存在を人に知られることは死活問題でした。

【人に知られるデメリット】

顔が知られると人に紛れ込みにくい 名が知られると人を油断させにくい 特徴が知られると目立ってしまいやすい 技が知られると見抜かれたり盗まれたりしやすい

忍者はその名の通り忍ぶことが身上ですから、人に知られてしまったら商売あがったりです。一度手の内を見せた(見られた)以上、相手を殺すか自分が殺されるかという過酷な世界だったのでしょう。

戦場で「やぁやぁ我こそは……」と名乗りを上げ、少しでも派手ないでたちで目立とうとするなど、自己アピールに余念がなかった武士たちとは価値観が根底から異なりました。

また忍術の技量と存在感の薄さに加え、上忍には義理堅さも問われたようです。いくら優秀であっても、簡単に裏切ったり任務を放棄したりするような者は信用できません。また職務上知り得た秘密をばらしてしまうような口の軽い者も、危なくて任務を託せませんでした。

中忍・下忍は?

イメージ

【上忍の定義まとめ】

人に知られていない 忍術に熟練している 義理堅く口が堅い

ここまで上忍について紹介してきましたが、理想的な諜報活動員の条件は、今も昔も変わらないのがよくわかります。

対する中忍や下忍についてはどうかと言うと、はっきりしたことは書いてありません。忍者「かくあるべし・かくありたし」という上忍の定義が示されたならば、それを目指して精進すべきであり、いちいち中忍や下忍とランク付けすることに意味がなかったのでしょう。

『万川集海』では理想的な忍者が上忍、忍術に熟練しても名を知られてしまった者を中忍、それ以外を下忍と呼びました。

この定義に照らすと、かつて上忍だったけど今は中忍になってしまった≒忍者としてのピークを過ぎてしまったということもあり得たでしょう。

ちなみに近年の創作でよく見る上忍・中忍・下忍という階級制度については、文献に言及がありません。そのため、当時の忍者たちもいちいち誰が上忍だ下忍だなどと意識してはいなかったようです。

ただし任務を遂行する以上、組織体制や指揮命令系統は存在していたでしょう。それぞれの立場や階級を示す概念が記録されていたら、改めて紹介したいと思います。

終わりに

イメージ

今回は戦国時代の忍者たちについて、上忍・中忍・下忍の違いを紹介してきました。

忍者は忍ぶ者と書くとおり、人に知られず世を忍ぶことこそが身上。活躍を通じて人に知られると、ピークを過ぎてしまう点にその厳しさを実感します。

他にも忍者について色々知りたいので、また調べて紹介したいです。

※参考文献:

中島篤巳『忍者の兵法 三大秘伝書を読む』角川ソフィア文庫、2017年2月

日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan

「忍者の最強条件=無名であること!貴重な忍術史料『万川集海』が説く上忍・中忍・下忍の違い」のページです。デイリーニュースオンラインは、中忍下忍上忍万川集海戦国時代カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る