江戸のインフラは先進国レベル!近代化に出遅れたはずの江戸時代、実は産業技術の高さにペリーも驚いていた

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江戸のインフラは先進国レベル!近代化に出遅れたはずの江戸時代、実は産業技術の高さにペリーも驚いていた

近代化と日本の職人技

かつての教科書では、江戸時代の日本は鎖国していて外国と交流がなかったから、欧米に比べてずいぶん遅れていたと書かれていたものです。

そして明治になってやっと開国し、近代化が始まった。つまり鎖国は欧米と比較して時代遅れの政策だったという論旨です。

しかし、では定義として近代化とは何かという問題はあります。時代に遅れてと言っても、何に対して遅れていたのでしょうか。基準がはっきりしていません。

そもそも当時の欧米を「先進国」とする考え方自体を、見直す必要があるかもしれません。

外国人も驚嘆!江戸時代の社会インフラは当時の欧米先進国よりも日本が遥かに優れていた

欧米を先進的だったとするのは、主に産業革命の成果を見た言い方です。蒸気機関で動く機械を使った大量生産や鉄道の建設などが進んでいたからです。

確かに、日本には蒸気機関も鉄製の機械もありませんでした。産業における動力は人力、畜力、水力が中心でした。

産業革命の象徴。世界最初の鉄道、ストックトン・アンド・ダーリントン鉄道の開業(Wikipediaより)

しかし、かのペリーが日本を訪れたとき、面白いことを言っています。

彼は日本の手工業技術の精巧さに驚き、「道具は粗末でも、職人の技術は世界に劣らない」と評価したのです。

そして、日本人の知的好奇心と吸収力を見て、「排外政策が緩和されれば、すぐに先進国の水準に達する」と予言しました。

発達していた産業

ペリーの予感は正しかったし、彼の視点は鋭く本質を見抜いていたと言えるでしょう。実は江戸時代の終わり頃、日本の産業はすでに工場制手工業の段階まで発展していたのです。

当時は農村の家内工業から始まり、問屋制家内工業を経て、多くの人が働く手工業工場へと展開していました。

例えば、お酒づくりで有名な伊丹・池田・灘では、早くからこの工場制手工業化が進んでいました。

伊丹の古い酒蔵

また西陣や尾張・足利・桐生などでは、多くの織機と奉公人を抱える大きな織屋が登場しています。

鎖国政策は究極の保護貿易だったため外国製品がほとんど入って来ず、かえって国内の産業がしっかり育ったのだと言えるでしょう。

当時は農村では荒廃が進む一方で賃金労働が一般化し、商品生産は資本主義的な性格を帯びてきました。

幕府は天保の改革で人返しの法を出し、都市の労働者を農村に戻そうとしましたが、これはすでに時代の流れに逆行するものだったのです。

一方、長州や薩摩などの改革藩は専売制を採用したりや藩営工場を設けたりして、積極的に工業化を推進しました。

薩摩では反射炉やガラス工場、造船所を建設しています。また幕府も江川英龍の進言で、一八五七年に韮山反射炉を建造しました。

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江川英龍の自画像(Wikipediaより)

インフラ整備と識字率

江戸の都市インフラも、世界的に見ても先進国レベルと言える水準でした。

上水道が整備され、糞尿は農村で肥料として再利用されるなど、循環型社会が成立していたのです。

インフラの整備と維持は先進国の条件の一つです。その観点で見れば、江戸の都市機能は世界的にも高水準だったと言えるでしょう。

文化面でも日本は成熟していました。ペリーは『日本遠征記』で、日本社会における女性の地位の高さに注目しています。

彼は「東洋で最も道徳的で洗練された国民」と評価し、一夫多妻制がなく、女性が家族の一員として尊重されていた点を高く評価しました。

ただ識字率については、近年の研究ではこれまで過大評価されていたことが指摘されています。

しかし、寺子屋教育により庶民にも読み書きが広く普及していたことは事実です。

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明治初年の識字率は男子で4%、女子で10%とされています。これは当時の世界水準と比較しても、決して低くはありませんでした。

寺子屋の風景(Wikipediaより)

結論として、江戸時代の日本は「後進国」ではありませんでした。産業革命型の機械文明こそ持っていませんでしたが、手工業の技術、都市インフラ、教育、社会秩序など、多くの面で高い成熟度を持っていたのです。

ペリーを驚かせたのは、日本の「伸びしろ」と「潜在力」でした。鎖国政策は国内産業を育てる保護政策として機能し、その後の開国後の急速な近代化を支える土台となったのです。

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参考資料:浮世博史『くつがえされた幕末維新史』2024年、さくら舎
画像:photoAC,Wikipedia

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