【豊臣兄弟!】第4回「桶狭間!」注目の考察4選:父の仇をなぜ討たない?直のアンサーソング、草履の伏線

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【豊臣兄弟!】第4回「桶狭間!」注目の考察4選:父の仇をなぜ討たない?直のアンサーソング、草履の伏線

大河ドラマ『豊臣兄弟!』第4回は「桶狭間!」。今までに何度も描かれたテーマをどう表現するかが話題でしたが、2〜3話分が凝縮されたようなあっという間の45分間でした。

本稿では、父の仇・城戸小左衛門(加治将樹)の人物像の理由、作戦を切り替えた兄弟の判断、そして小一郎の「死にたくない」に直が返した「生きておれば十分」の言葉。さらに、信長と兄弟のアイコン“草履”の逸話が、まさかの「そう来たか!」になった展開を振り返り考察します。

1)城戸小左衛門をなぜ“極悪キャラ”に描いたのか?

2)兄弟が「今は討たない」と判断した意味

3)「生きておれば十分」、直のアンサーソング

4)草履の逸話を「桶狭間」に繋げた狙い

雄叫びを上げる兄弟。NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」公式サイトより

信長の精鋭部隊「六人衆」の一人、城戸小左衛門

今回、「桶狭間」という題なのに、通常であれば信長と肩を並べる主役・今川義元(大鶴義丹)よりも、失礼ながら存在感を放っていたのが槍の名人、城戸小左衛門でした。

初回登場から「顔芸」がキーワードになるほど、加治さんの強烈な個性と思わず引きづり込まれそうな力強い演技が光っていましたね。

藤吉郎は、父が亡くなる前に「お前が作った木彫りの戦守りも、手柄も、味方に横取りされてしまった」と聞かされた話は、ただの作り話と思っていました。

ところが、清州に来てから、小左衛門がその戦守りを腰に付けていること、味方の手柄を横取り後に出世したらしい話を聞いたことなどから、父親の仇と特定。戦のどさくさに紛れて倒す計画を小一郎に持ちかけました。

最初は戸惑っていた小一郎も、高圧的で横暴、必要以上に倒した相手を痛めつける嗜虐的な小左衛門に対して憎しみの感情を抱くように。

けれども、小左衛門の人物像や兄弟の父の仇だったという筋書きはフィクションです。実在の人物ではありますが、記録資料は少なくキャラクターまではわかっていません。

小左衛門は、太田牛一という武将・官僚の『信長公記』(織田信長の一代記)に記されているのみで、生没年も不明、信長の身辺警護を担う精鋭部隊・六人衆(弓の名手3人・槍の名手3人)の一人で槍の扱いに優れていた……ということくらいしかわかっていないそうです。

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キャラの強い城戸小左衛門。NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」公式サイトより

ドラマでは傲慢で強烈なキャラ設定もあっけない戦死

今回の桶狭間の戦いでは、「また稼ぐか!(ニヤリ)」と不死身の魔王のごとく敵を薙ぎ倒していた小左衛門。

兄弟が敵に殺されそうなとき槍を投げて倒してくれました。けれども、「戦場なら目障りなやつを殺しても気づかれんからな」とギョロ目で睨め付け憎まれ口を叩いている間に、背中に矢を受けて死んでしまいます。

小左衛門にとっては、豊臣兄弟は、反発してくるわ、嘘くさいヨイショはするわ、イカサマ博打を見破るわ、なにかと目障りな存在のはずです。

「わしらを殺そうとしたのか!」と小一郎が叫んだように、戦のどさくさにまぎれて目障りな二人を殺そうとしたのか。それとも、味方だから助けたのか。本心はどこにあるのかは、わかりません。

「博打も戦もどんな手段でも勝てばいいんだ」と言い放しつつつつ、イカサマ博打で負かした藤吉郎に着物を返してやるなど、本当はどこか善意で助けたのでは?というニュアンスも残し、ファンに惜しまれつつの退場でした。

あんなに、ツヨツヨの憎まれキャラだったのに、あまりにもあっけない最期。まさに藤吉郎の「なんで簡単に死んでしまうのだ!」という言葉は、多くの視聴者が共感したようです。

槍の稽古と称して弱い者を徹底的に痛めつける嗜虐趣味で、年配の蔵番の男を恫喝し酒を奪った挙句、「戦にも出られぬ老いぼれが、二度と儂に偉そうな口を叩くな!」と傲慢極まりない振る舞いを平気でする性格。

なぜ、小左衛門をあのようなパワハラキャラにしたのでしょう。

戦モードの装い城戸小左衛門。NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」公式サイトより

「わしは死ぬのが怖い、殺すのが怖い」小一郎の本心

これは、筆者の推測ですが、城戸小左衛門を徹底した悪党キャラに描いたのは…

・兄弟が“仇”として、心底憎みやすいから

・正面からぶち当たっても勝てないので、戦のどさくさに紛れ“倒す”という藤吉郎らしい戦法にでるため(ああいう悪党なら多少、ずるいやり方で仇討ちをしても良心が痛まない)

・どんなに強い槍の名手でも、矢一本で簡単に死ぬ“戦”の無常さを描くため

・同僚の手柄を奪った小左衛門が、その子供たちに手柄を奪われるという因果を描くため

など。

実際、小左衛門への怒りを募らせることで、まだ危うかった二人の結束が強まったようにも見えました。

けれども、戦場で今がチャンスと、弓で小左衛門を射ろうとした藤吉郎を小一郎が止めす。「悔しいがあいつは味方にとってなくてはならぬ男。今、小左衛門を失うことは味方にとって損失だ」と。

“どんなに憎い仇でも戦の状況によっては中止する”。さすが、のちの冷静な補佐役秀長を感じさせる場面と、思いきや……

「主君のため命を散らすが美学」ではない小一郎

「俺は戦で死にとうない、生きて帰りたい」。だから、強いやつは殺さないで!、小一郎の正直な叫びが描かれました。

「戦場で主君のために命を散らすのが美学」ではない小一郎。

どんな戦いの場でも、「俺は死ぬのが怖い」と、正直に自分自身の恐れをわかっている人のほうが冷静な判断ができるもの。

死ぬのが怖いのは当たり前。臆病になるからこそ、工夫をして道を切り開く……「自分が死ぬのも、殺すのも怖い」と素直にぶちまける、小一郎の芯の強さが感じられました。

このような描写が、史実では、暴走する秀吉のストッパーとして評価された豊臣秀長という人物へと繋がっていくのかなと。

「この臆病者が!」と怒っていた藤吉郎が、震えて突っ伏している小一郎を抱き起こし、「あとで偉くなってあいつを顎で使ってやるとするか!」と、笑顔で即座に判断した場面は、今回、好きな場面です。

笑顔の裏の“闇”が怖い藤吉郎ですが、ここでは小一郎のどストレートな思いで“善”の部分が引き出されたような気がしました。

このコンビネーションの妙も、のちの豊臣政権に反映されていくのかと思います。

NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」公式サイトより

「死にとうない!」に「生きておれば十分」な直のアンサーソング

前回、村に帰ろうとした小一郎ですが、(白石聖)に「あんたは、自分のために侍になりたいんじゃろ!」と気付かされ、戦いの装束を身につけて兄の目の前に現れました。

その瞳には決意と戦いへの覚悟を表すかのように、炎がメラメラと。けれど、やはり実戦で目の前で殺し合いを見てしまうと、当然ですが恐怖で腰が引けてしまいます。

前述した、小一郎の心からの「俺は戦で死にとうない、生きて帰りたい。」という率直な叫び。

それに対して、戦いから戻ってきた小一郎を周囲も憚らずに思い切り抱きしめて「生きておればそれで十分じゃ!」と直。

小一郎の「死にたくない。生きていたい」に対しての、直の「生きておればそれで十分じゃ!」は、アンサーソング(返歌)のようでした。

やはり、この二人、同郷の幼馴染で初恋の人というだけではなく、魂と魂が結びついているお互いの分身のような、ソウルメイトのような関係なのかも……。

たとえ、結ばれない運命でも、きっと絆は生涯存在する。まるで、「べらぼう」の蔦重と瀬河のような。そんな気がします。

もちろん、直も実在の人物ではありませんが、小一郎が百姓から天下人の秀吉の補佐役への道を進んでいくにあたり、重要な水先案内人の役割を果たしていますよね。

『豊臣兄弟!』小一郎と直(白石聖)はその後どうなる?史実ベースで悲劇的末路や二人の子供を考察

そういえば、「負けるとわかっていても命をかけるのが侍じゃ」といっていた、帝王感抜群の信長(小栗旬)が、ホッとするあまりに「は〜よかった!勝った〜」と床に寝転がっていた描写は、非常に人間味がありました。

今回の小栗信長は、かっこいいルックスに反して、時々、迷いや戸惑いなどを漂わせる、そんな人間臭さのある人物像に描かれているのが興味い深いですね。

「死にとうない」小一郎と「生きていればいい」直は、ソウルメイト。NHK大河「豊臣兄弟!」公式サイトより

“草履”は織田・豊臣兄弟に欠かせないアイコン

さて、豊臣秀吉の立身出世物語に欠かせないアイコンが“草履”です。

ドラマでは、この“草履”は、3話・4話と豊臣兄弟、織田信長、城戸小左衛門に関わるものとして描かれていました。

有名な「秀吉が信長の草履を懐に入れて温めていた」という逸話。

城戸の草履と勘違いした藤吉郎が、盗んで売ろうと懐に入れたところを信長に見つかり、あの有名な「温めておきました」で誤魔化すものの、

「この季節(初夏)にか?」と不審そうにつっこまれ、小一郎が「もうすぐ雨が降りそうなので懐にしまいました」という展開にアレンジされていました。

「トンビが低い位置で飛んでいるので、もうすぐ雨が降る」と、戦には欠かせない有能な気象予報士の才を見せた小一郎。それが、まさかの「桶狭間の戦い」での勝利に結びつくという脚本になるとは!

実は、この「草履のエピソード」は、秀吉が亡くなってから約200年後、あの蔦重の時代に誕生した『絵本太閤記』のなかでのお話なんですよね……

タイムワープしながら紡がれていく、大河ドラマは面白いですね。

今回、戦で大きな役割を担うことになった“草履”の意外な話は、次話でご紹介したいと思います。

「木下藤吉郞秀吉」 『絵本太閤記』巻一冒頭の挿絵 wiki

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