国より茶器が欲しい!『豊臣兄弟!』に登場する戦国武将・滝川一益が欲しがった“伝説の茶器”珠光小茄子 (2/3ページ)
自然希(のぞみ)もこれ有るかと御尋も候はゞ(そうらわば)、小なすび(珠光小茄子)をと申し上ぐべき覚悟に候ところ、さはなく、遠国にをかせられ候条、茶の湯の冥加(みょうが)はつき(尽き)候……
※京の茶人・三国一太郎五郎へあてた書状。
【意訳】今回、武田を討ち滅ぼした。当然のごとく上様より「望みはあるか。何でも叶えてやろう」とお言葉があるものと期待した。もしお尋ねがあったなら、わしは迷わず「名物茶器の珠光小茄子(じゅこう こなすび)を下され」とお願いするつもりであったが、結局お声がけはなかった。それどころか、上野国という中央から離れた場所へ飛ばされてしまい、我が「茶の湯人生」は終わったも同然じゃ……。
要するに「どんな領地も役職も、名物茶器がもらえなければ、何も嬉しくない」と言っているのでした。
しかも「きっと上様からお声がけがあるはず!まだかな、まだかな~」と心待ちにしていたけど、結局何も声がかからなかった時のしょげ返りようが目に浮かびます。
例えるなら、お散歩に連れてってもらえると期待した犬が尻尾を激しく振っていたのに、結局行かないとわかってしょんぼりするような……他人事ながら、胸が痛くてたまりませんね。
名物茶器はもらえないし、こんなに遠くへ飛ばされたら茶の湯にも参加できない……当時の武将たちにとって、いかに茶の湯が大切なものであったかが痛感されます。
ちなみに茶の湯は誰でも自由に開けるものではなく、信長の許可が必要でした。当時その許可を受けていたのは織田信忠(信長嫡男)・柴田勝家(山口馬木也)・丹羽長秀(池田鉄洋)・明智光秀(要潤)・羽柴秀吉(池松壮亮)の5人だけです。
上野国へ赴いた滝川一益は、間もなく発生した本能寺の変で命運が暗転。賤ヶ岳の合戦に敗れ失脚していくのでした。
名物茶器・珠光小茄子とは?滝川一益がそこまで欲しがった珠光小茄子とは、一体どんな茶器だったのでしょうか。
珠光(村田珠光)とは室町時代中期の茶人で、侘茶の創始者とされるカリスマでした。珠光小茄子とは彼が所持していた茄子型の茶入で、九十九髪茄子(つくもがみなす)より小ぶりであったことから小茄子と呼ばれたそうです。