「あの時戻ってきてもらえなかったら、どうなっていたか」 3年前に出会った〝恩人〟に伝えたい感謝 (2/3ページ)
日が暮れたら大変なことになると思い、山頂の雪景色を後ろに急いで下ろうとしたのですが、2~3歩行くと見事にひっくり返って腰を強打します。
でも降りないわけにはいかないので、何回もひっくり返りながら、日が暮れる前に下山を急ぐ登山客の通り過ぎる中、木の枝で体を支えながらひっくり返っては立ち上がるを繰り返してきたところ、まず、私が違う道にそれたことに気付いた年配の男性が「そっちは難しいよ!」と言って通り過ぎて行きました。
どんどん先に下山していく登山者たちそうか。こっちか。と思いながら、日が暮れていくのを尻目に本当に数センチずつ歩いていると、後ろから中年の女性が「あら! アイゼンがないの? 六号目までは雪道が続くよなるべく落ち葉の上を行ったらいいよ」と言って私の先を降りて行きました。
まだ九号目あたりで、もちろん周りには誰もいません。

このままで行けばおそらく山で夜を明かすことになるし、暖をとるものはないし、寒さと暗闇に耐えられなくなったら救護を呼ばないとどうなってしまうかわからない。
かと言って簡単に救護なんて呼ぶこともできず、途方にくれていたところ、道の先から先ほどの女性がこちらに向かって上がって来ました。
「下りていたら、片方だけアイゼンが落ちていたから持ってきたの。これをつけて」
そして、私が左足にアイゼンを装着するのを見届けてから、先に降りて行かれました。
その後片方の足に力が入り、スムーズに下山でき、なんとか日が暮れる前に登山口からの最終のバスに乗って帰ることができました。
あの時の女性が戻って来てくださらなかったら、どうなっていたか。心からお礼が言いたいです。