『豊臣兄弟!』史料に見る「金ヶ崎の退き口」の実際、浅井長政とお市はどうなる?第14回放送の解説

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『豊臣兄弟!』史料に見る「金ヶ崎の退き口」の実際、浅井長政とお市はどうなる?第14回放送の解説

浅井長政(中島歩)離反の知らせを受けながら、どうしても「弟に裏切られた」現実を信じたくない織田信長(小栗旬)。このままでは袋の小豆になってしまう……信長の目を覚まさせるために自分の足を刺し貫いた秀吉(池松壮亮)は、小一郎(仲野太賀)らと一緒に殿軍を務めることとなったのでした。

今回は「何やかんや」で片付けなかった金ヶ崎の退き口。一躍豊臣兄弟の名を高めるキッカケとなったこの退却戦は、実際どのようなものだったのでしょうか。

NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第14回放送「絶体絶命!」気になるトピックを振り返ってみたいと思います。

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『信長公記』に見る金ヶ崎合戦

錯乱の余り、光秀を足蹴にした上刀を突きつける信長。NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」公式サイトより。🄫NHK

信長の側近であった太田牛一の日記『信長公記』を見ると、金ヶ崎の退き口については非常に簡素な記述しかありませんでした。

【意訳】はじめは浅井長政の離反を虚説と思って信じなかった。しかし次々と注進が入ったため、金ヶ崎城に木下藤吉郎を残して自身は朽木元綱(くつき もとつな)の手引きで京都へ逃げ帰った。

……恐らく詳しい記録を残すほどの余裕もなかったのでしょう。必死に京都まで逃げ延びた後で、記憶を手繰り寄せて「そう言えば、秀吉を殿軍に残したんだっけ」と書き留めたものと思われます。

金ヶ崎の退き口について詳しいことを記録している一次史料は発見されていないため、実際のところはよくわかっていません。

『絵本太閤記』に見る金ヶ崎合戦

奮戦する秀吉たち。NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」公式サイトより。🄫NHK

とにかく逃げ帰るのに必死だった当事者の日記『信長公記』に対し、江戸時代中期に書かれた軍記物語『絵本太閤記』では、もっと秀吉の活躍が詳しく描かれました。

金ヶ崎城には豊臣兄弟&仲間たちだけでなく、明智光秀(要潤)や池田勝正(いけだ かつまさ)も残っています。

兵力は総勢3,000ほど、金ヶ崎城を包囲する朝倉の軍勢は約35,000と十倍以上の差がありました。

秀吉は敵を引きつける囮のネズミとして、小一郎にわずかな兵で金ヶ崎城を守らせ、自身は1,000ほどの軍勢を率いて伏兵となります。

明智・池田勢は秀吉の指揮下にはいなかったようで、どのような行動をとっていたのかはわかりません。恐らく「殿の命ゆえ助太刀はするが、指図は受けぬ」という距離感を保っていたのでしょう。

小一郎たちは城の内外にありったけのかがり火を焚いて、あちこちに大軍がいるように偽装して、朝倉の大軍を迎えました。

果たして夜になって朝倉の大軍が金ヶ崎城を取り囲みますが、様子をうかがってなかなか攻め懸かっては来ません。

そこへ秀吉が夜襲を仕掛け、朝倉勢が混乱した機に乗じて小一郎も城内から撃って出ました。

更に明智・池田も加勢して朝倉勢に痛打を加え、一矢報いた形で退却してきたということです。

『徳川実紀』に見る金ヶ崎合戦

秘伝の薬と称して、単なるかゆめ止めを秀吉に渡す家康。成分は何だろう。NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」公式サイトより。🄫NHK

劇中では史実に沿って、徳川家康(松下洸平)は早々に退却していました。が、後世に書かれた江戸幕府の歴史書『徳川実紀』では家康も殿軍に加勢したことになっています。

要するにフィクションなのですが、それによれば秀吉が家康に「助けてほしい」と泣きついてきたので仕方なく加勢することになりました。

果たして壮絶な退却戦を繰り広げるのですが、家康は窮地に陥った秀吉を救出した上に朝倉勢を撃退し、逆に少し追い立てて距離をとって悠々と逃げ延びたのです。

ここまで来れば一安心……というところで休憩していると、ボロボロになった秀吉がようやく追いつき、家康に感謝感激雨あられとお礼を述べるのでした。

これが数年前に「何やかんや」で割愛されてしまった家康無双エピソードの一つですが、秀吉のボロボロぶりなどに、妙なリアリティを感じてしまいますね。

ちなみに『徳川実紀』では家康アゲが激しく、続く姉川の合戦でも無双するのですが、果たしてどのように描かれるのでしょうか。

なぜ寧々がいなかった?女性たちのトゲ騒動

なかに「弁天様」認定された慶。ところで2~3日不在とは、どこへ行くのだろう。NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」公式サイトより。🄫NHK

合戦ばかりではむさ苦しいと思ったのか、先週に引き続いて母なか(坂井真紀)のトゲ騒動?が挿入されていました。

姉とも(宮澤エマ)や妹あさひ(倉沢杏菜)も一緒になって何をやっているのか……ちょっとあんたたち、楽しんでるんじゃないでしょうね?

そうこうしている内に慶(吉岡里帆)がやって来たタイミングでトゲが抜けたからか、なかは慶を「弁天様」と褒めたたえました。

慶は2~3日家を空けるとのこと。果たして「弁天様」と呼ばれたことが、今後豊臣一家との関係にどんな影響を与えるのでしょうか。

ところで今週は寧々(浜辺美波)がいませんでしたね。単純に女優さんの都合だったのか、寧々がいないことが何かの伏線となるのか……別にいてもいなくても、支障のなさそうな場面ではあったけど、気になりますね。

次の元号は元亀に…足利義昭の決意

葛藤する義昭。NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」公式サイトより。🄫NHK

次の元号を元亀(げんき)と定め、信長敗北の知らせを受けた足利義昭(尾上右近)は、万が一に備えて次の手を打ち始めます。

(※)劇中では室町将軍が元号を定めているように言及されていましたが、実際に元号を定めるのは朝廷の権限です。室町将軍はあくまで提案するにすぎません。

浅井長政や朝倉義景(鶴見辰吾)に対して書状を用意していたようですが、恐らく次の庇護者となるよう要請する内容でしょう。

そこへ眼を血走らせた信長が生還を果たし、義昭は胸中を隠しつつ懇ろに出迎える……という展開でした。

つまり義昭が信長を裏切り、それが発覚した……という展開にもっていくのでしょう。実際にそのような流れとなります。

ただ一概に義昭ばかりも責められず、もし信長が命を落としていたなら、義昭の行動は当然の保身と言えなくもありません。

しかし劇中では、信長が義昭こそ浅井離反の黒幕である可能性を疑っていました。そのため、義昭の書状をキッカケに両者が対立していくのは避けられないでしょう。

長政がお市を離縁?

織田を捨て、浅井を選ぶであろうお市。NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」公式サイトより。🄫NHK

せっかく追いついたのに、小一郎に説得されて?ノコノコ小谷城へ帰ってきた長政。

いやあなた有利なんだから、猿兄弟とその一味の首級を獲りなさいよ。何口先一つで丸め込まれているんですか……浅井久政(榎本孝明)が聞いたら、激怒のあまり血圧が上がってしまいそうですね。

それはさておき、織田家と朝倉家の板挟みに苦しんでいた長政は、同じく織田家と浅井家の板挟みで苦しんでいるお市(宮崎あおい)を離縁すると言い出しました。

この人は何を言っているのでしょうか。織田家と対立するのであれば、せっかくの人質をわざわざ返してやる理由がありません。

もしあるとするならば今後織田家との関係を修復する可能性を模索しているでしょうが、それならずっと浅井家に置いて仲良くすればいいわけで、これまた無理があります。

どのみち交渉のアドバンテージとなる人質を解放して、何も得になることはありません。

要するにこの場面は、お市に織田家と浅井家のどちらかを選ぶ決断を迫って浅井家を選ばせ、悲劇をたどるための布石なのでしょう。

第15回放送「姉川大合戦」

第15回放送「姉川大合戦」。大に相応しい合戦を描いていただきたい。NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」公式サイトより。🄫NHK

信長(小栗旬)は朝倉・浅井に反撃するため、義昭(尾上右近)や家康(松下洸平)に援軍を要請。だが、内心では信長の失脚を願う彼らの動きは鈍い。一方、小一郎(仲野太賀)と藤吉郎(池松壮亮)は、市(宮﨑あおい)を逃がすため時を稼ごうとするが、市の思いは長政(中島歩)とともにあり、策は実を結ばない。そんな中、信長は北近江へ進軍を開始。姉川を挟んで朝倉・浅井軍と対峙(たいじ)し、ついに両軍は対決の時を迎える。

※NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」公式サイトより。

どうやら物語はお市の救出(奪還)?作戦を中心に描くようです。テンポが悪くならないといいですが……果たして信長のリベンジとなる姉川の合戦がどのように描かれるのか、お市関係で尺が削られてしまう展開が予想されます。

戦国ファン待望の磯野員昌(いその かずまさ)「姉川十一段崩し」や、真柄直隆(まがら なおたか)の振り回した大太刀「真柄切兼元(まがらぎりかねもと)」が見られるのでしょうか。次週も熱い展開を期待しています!

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