2024年紅麹事案 研究解説「我々紅麹業界に何が起こったか」 福山市保健所長が「謝罪」した夜——2024年4月3日、紅麹事件で一番肝を冷やした日—— (2/3ページ)
過去の例では、地元の保健所を経由して発表が行われるはずだ。それが手順というものだ。しかし時間外にもかかわらず地元の備中保健所に確認すると、「知らない」という。
3 福山市保健所に「怒鳴り込んだ」
急いで福山市保健所の電話番号を調べ、電話をかけた。
私は怒鳴り込んだ。
「君たちは因果関係を証明できるのか。」
「こんな発表をされたら、明日、小林製薬の紅麹を使っていた52社+173社は袋叩きにあう。責任はとれるのか。」
一事業者が保健所の公式発表に対して「クレーム」を言う——そんなことは前代未聞だ。しかし私には言わなければならない理由があった。弊社だけの問題ではなかった。全国225社の問題だった。
4 午後9時——保健所長が謝罪し、発表をやり直した
福山市保健所長は、謝罪した。
そして午後9時、保健所はプレスリリースを出し直した。
これが紅麹事件を通じて、弊社が最も肝を冷やした出来事だった。企業名の公表よりも、健康被害相談の電話よりも、この夜が一番怖かった。「健康被害のある食品」として名指しされることの意味を、身をもって感じた夜だった。
5 1年後——福山市保健所はまだ覚えていた
1年後、私は福山市保健所に電話をかけた。あの夜の対応について確認したかったからだ。
担当者は、覚えていた。
それはそうだろう。一事業者が保健所の公式発表にクレームを言い、保健所長が謝罪してプレスリリースを出し直した——そんな事例は、おそらく前代未聞だ。担当者の記憶に残らないはずがない。
そしてこの事実は、弊社にとって重要な意味を持つ。福山市保健所自身が「発表に問題があった」と認めて謝罪し、訂正した。これもまた、「収去なき断定」がいかに現場を混乱させたかの証左である。