高野山へ参詣者を導いた伝説の犬「ゴンちゃん」とは?23キロの山道を4年間歩き続けた感動実話

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高野山へ参詣者を導いた伝説の犬「ゴンちゃん」とは?23キロの山道を4年間歩き続けた感動実話

和歌山県の高野山へ続く険しい山道を、毎日のように参詣者たちの先頭に立って歩いた一頭の犬がいました。その名は「ゴン」

高野山の麓にある慈尊院から山上の大門まで約23キロ。歩けば6時間以上かかる山道を、ゴンは4年もの間、人々を導き続けました。

なぜ一頭の犬がそこまでしたのか。今回は、神仏に導かれた奇跡の案内犬「ゴンちゃん」のお話です。

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慈尊院の境内に建つ「ゴンの石像」(撮影:高野晃彰)

慈尊院に現れた一頭の白い犬

時代が昭和から平成に変わった1989年(平成元年)、一頭の白いオスの雑種犬(紀州犬&柴犬)が高野山の麓・和歌山県九度山の慈尊院に住み着きました

慈尊院は、高野山の開祖・弘法大師空海の母・玉依御前の霊を安置する名刹。まさに高野山の発祥ともいうべき寺院で、高野山表参道の参詣道「町石道(ちょういしみち)」の起点としても知られています。

慈尊院に隣接する丹生官省符神社の案内板。空海・狩場明神と二匹の犬(撮影:高野晃彰)

実は高野山と犬はとても深い縁がありました。それは空海が高野山を開創する際、狩場明神が連れていた白と黒の二匹の犬に導かれたという伝説があるからです。つまり高野山では、犬は神の使いとして神聖視されてきた動物でした。

慈尊院山門(撮影:高野晃彰)

さてこのわんちゃん、いつしか「ゴン」と呼ばれるようになります。どうもごーんという慈尊院の鐘の音が大好きだったことから、この名が付いたようです。

すっかり慈尊院の顔となったゴンちゃん。参詣者たちに可愛がられているうちに、ある行動をとり始めます。それは、慈尊院と最寄り駅である南海九度山駅との間、約2キロの道のりを行き来し、参詣者を案内するようになったのです。

ところが、しばらくするうちにゴンちゃんの行動は驚くべきものに変わっていきます。

23キロの山道を歩き続けた奇跡の犬

来院する人々を、最寄り駅まで送り向かいするゴンちゃん。これだけでもとても賢い犬なのですが、彼の行動はそれだけではありませんでした。

在り日のゴン(『高野山の案内犬ゴン』より)

なんと慈尊院から高野山大門まで続く参詣道・高野山町石道を、参詣者の先頭に立って案内するようになったのです。

慈尊院から大門までの距離は、約23キロメートル。歩き通せば6時間ほどかかる山道で、途中険しい場所もあります。ゴンは参詣者の先頭に立ちつつ、人々が休憩すれば、それに合わせ立ち止まり、8時間以上かけて歩きました

毎朝、慈尊院を出発すると、夕方には大門へ到着。参詣者を見送ると、夜には慈尊院に戻ってきました。おそらくは慈尊院に居つく前、野良犬だったころ高野山の山中をねぐらとしていたのでしょう。ゴンちゃんは、人の通れないような獣道を短時間で駆け下り、慈尊院に戻っていたのです。

そんなゴンちゃんの道案内は4年間続き、ほぼ毎日、参詣者を案内しました。

しかし当時のゴンの年齢は、推定で10歳を超えていたとされます。紀州犬と柴犬のミックスであるゴンちゃんは、中型犬の部類に入るでしょう。現在でも中型犬の寿命は、個体差もありますが15歳くらいが普通です。つまり、当時のゴンはすでに老齢の域に差し掛かっていたのです。

還暦を迎えた?ゴン(『高野山の案内犬ゴン』より)

そのゴンちゃんが毎日、片道20キロ強の山道を歩き続けることが、どれほどの負担だったかは想像に難くありません。でも、ゴンは何かに導かれるようにして人々の先頭を歩き続けたのです。

引退後も人々に愛され続けたゴン

そんなゴンちゃんは、1992年(平成4年)に案内犬を引退します。これはゴンの体調を心配した、慈尊院のはからいでした。

ゴンはその後の10年間、お寺のアイドル犬、いや高野山の看板犬として、お寺の方々や参詣者から愛され、静かに暮らします。そして2002年(平成14年)6月5日午後3時50分、老衰のため息を引き取ったのです。推定年齢は20歳以上、慈尊院では27歳だったと伝えています。

ゴンを描いた本「高野山の案内犬ゴン」。(ハート出版)

マスコミの報道やネットで有名になったゴンちゃん。そして絵本にもなったゴンちゃん。その死は愛犬家はもとより多くの人に惜しまれ、慈尊院には問い合わせが相次いだといわれます。

そしてその面影を偲び同年7月23日、境内の弘法大師像の横に「高野山案内犬ゴンの碑」が建立され、ゴンの石像が置かれました。慈尊院を訪れると、お大師様と寄り添い参詣者を見守るように、ゴンはそこにいます。

弘法大師像とゴンの碑(撮影:高野晃彰)

犬とゆかりが深い高野山。もしかしたらゴンは、狩場明神の白い犬の生まれ変わりであったのかもしれません。そしてはるか昔に弘法大師空海を導いたように、高野山へ詣でる人々の先導役を務めていたのでしょうか。

神仏に導かれ、そして人々を導いた奇跡の犬ゴンちゃんの物語は永遠に語り継がれていくことでしょう。

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