朝ドラ『風、薫る』直美に急接近する軍人・小川吾郎(甲斐翔真)は“未来の夫”か?実在モデルとの共通点に注目

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朝ドラ『風、薫る』直美に急接近する軍人・小川吾郎(甲斐翔真)は“未来の夫”か?実在モデルとの共通点に注目

NHK朝ドラ「風、薫る」のダブルヒロイン、一ノ瀬りん(見上愛)と大家直美(上坂樹里)は、共に看護婦養成所を卒業。

まだ新人なのに、帝都医科大附属病院側からは外科と内科の「看護婦取締」「病院の看護科の生徒の講師」の両方を押し付けられてしまい、負担が増えて大変な思いをしています。

役職も講師も初めてで悩みを抱える彼女たちですが、それぞれ慕ってくる二人の男性がいます。

りんには幼馴染の竹内虎太郎(小林虎之介)と小説家志望のシマケンこと島田健次郎(佐野晶哉)が。

そして直美には、腐れ縁ともいえる詐欺師の寛太(藤原季節)と、第13週から登場した見舞客の小川吾郎(甲斐翔真)が。

初対面のときはズバズバとものを言う直美に「可愛げのないおなご」と反発した吾郎ですが、どうやら直美に好意を持っている様子。

実は、直美のモデル・鈴木雅には陸軍軍人の夫鈴木良光がいました。

寛太が初登場の頃は、軍人の格好をして青年海軍中尉・小日向栄介を名乗っていたので「雅の夫だ」と推測する声が多かったのですが。

※関連記事:

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実は、寛太は詐欺師で軍人のフリをしていただけと分かり、最近、突然軍服で登場した小川吾郎こそ鈴木良光をモデルにした人物では?と推測されています。

小川吾郎のモデルは公式では発表されていませんが、鈴木良光との共通点やその存在の意味などを探ってみました。

陸軍二等軍曹・小川吾郎(NHK「風、薫る」公式「X」より)

※現在は「看護師」という名称ですが、この記事では当時の名称に合わせ「看護婦」と表記しています。
※本記事では登場人物のモデルとされる実在人物を紹介していますが、ドラマ上の人物設定や物語展開は創作を含むため、実在人物の生涯・経歴とは異なる場合があります。

厳しい直美に「がばい偉そう」という吾郎

帝都医科大附属病院の内科・看護婦取締になった直美ですが、相変わらず「患者さんにとってダメなものはダメ!」と手厳しく言う態度は変わっていません。

第13週『白日の夢』で、友人の陣内清(細川岳)のお見舞いに軍服のまま訪れた小川吾郎(甲斐翔真)は、差し入れに“ぼた餅”を持ち込みます。

けれども、まだ清は「食べてはいけない状態」なので直美は取り上げました。

吾郎は「せっかく買ってきたのに」と文句を言うも「体を傷つける暴力です」と、厳しく突き返されてしまいました。

「がばい偉そうな尼さんばい」と九州弁(佐賀?)で怒る吾郎に、清は「尼さんじゃなか、看護婦!」とたしなめます。

昔はシスターの制服が看護服で、ナースウェアの原型でした。ナースキャップに全身真っ白のワンピース姿の直美を「シスターが看護に奉仕している」と思ったのでしょう。

吾郎のデリカシーのない言い方に、「何なの、あの芋男!」と、病室を出て廊下を歩きながらプンプン状態の直美。

たぶん、ぼた餅のことだけではなく、吾郎の「女ならもっと優しい言い方があるだろ」的な、ちょっと男尊女卑的な(現代ならジェンダーハラスメントなNGワード)言葉に腹が立ったのだと思います。

ところが別の日、再び病院に来た吾郎に「先日は失礼しました」「お若いのに一番階級が上で」と礼儀正しく詫びられました。

軍隊式の敬礼をして、「近衛歩兵第3連隊二等軍曹、小川吾郎です」と名乗ります。(清への見舞いの品なのか、なぜか、手に野の花のような花束を持って敬礼しているのが面白い。)

「本当ですか?」と思わず疑う直美。「ちょっと、軍人さんは……」と言い淀みます。寛太に騙された過去がありますからね。

吾郎は続けて「新兵の時に、毎日上官に厳しく叱られてました。あなたのように恐ろしい上官で!でもそれは兵の命を考えてのこと。だから優しい上官だと思うようにしたのです。看護婦さんも優しい方だと思うようにしました。」

「恐ろしい上官」「思うようにした」などと、結構失礼な喩え方で、謝っているのか煽っているのか分からないことを言います。

すごく正直者だけれど、ちょっとデリカシーはなさそうかも。去り際に直美も思わず苦笑していました。

相手が誰であろうが手厳しい直美。(NHK「風、薫る」公式サイトより)

直美のモデル・鈴木雅の夫は陸軍の軍人だった

大家直美は、実在の人物・鈴木雅がモデルです。

雅の夫・鈴木良光は嘉永2年(1849)幕臣の陸軍奉行並支配・鈴木良右衛門の息子として江戸で生れました。雅とは9歳ほど年が離れています。

父と共に鳥羽伏見の戦いに参戦し、全国を転戦した後に五稜郭に立てこもるも、良光は榎本武揚の説得により降伏しました。

明治4年(1871)には、陸軍東京鎮台第三分営へ大尉心得として入営、明治5年に陸軍大尉、明治7年には大阪鎮台歩兵第九連隊第二大隊所属となります。

さらに、明治10年(1877)、歩兵第9連隊第二大隊長心得(大尉)として西南戦争に出征します。その後も陸軍の中で着実に成果を積み重ねていった良光は、同年少佐に昇進しました。

ところが、良光は西南戦争の最中に太ももに深い傷を負ってしまい、完全に治すことはできず、以降後遺症の痛みに苦しめられることになりました。

翌年、明治11年(1878)に、良光は静岡県士族加藤信盛の娘、加藤雅と結婚します。結婚後、夫婦は京都で新婚時代を過ごした後に、良光が学校教官になったために上京、その後は仙台に移っています。

ところが、良光は仙台にて明治16年(1883)に病没。

わずか5年の結婚生活でしたが、娘と息子二人の子供に恵まれています。

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看護技術があれば夫も安らかに過ごせたと後悔する雅

ドラマの原案小説では、雅は夫との結婚を「良い縁談だった」と語っていました。

「2年間学業をさせてくれたらどんな縁談でも受けると両親に頼みフェリス・セミナリー(いまのフェリス女学院)の寮に入って英語を学んだ後に、夫と結婚した」そうです。

そして「夫の良光は、西南戦争で大怪我を負っていた」こと「息子と娘が生まれて忙しいながらも楽しい毎日だった」と語ります。

雅の夫は傷が原因で亡くなったのですが、「西洋のトレインド・ナースの存在は知っていたので、夫が寝込んだときに看護の技術があれば最後の時間はもっと安らかに過ごせたのではないかと悔やんだ」そうです。

それが、雅が看護婦の道に進んだ動機の一つ。

さらに「夫の恩給で生活は成り立つものの『自立したい』という気持ち」もあったそうです。

そんな思いで上京し、看護養成所に通うようになったのでした。

寛太は「夫」ではなく苦労してきた者同士?

そんなふうに、鈴木雅の夫が軍人だったので、直美の前に現れる軍人男性をみると、つい「夫か!?」と思ってしまいます。

寛太が実は軍服姿で直美の前に現れたときは、雅の夫をモデルにしたキャラクターだろうと誰もが推測していたようです。

けれども、寛太は軍人を装った詐欺師で、夫とは掛け離れた人物。

ドラマの中では、詐欺師と判明した後も、なんだかんだ直美と寛太のと付き合いは続いています。

二人の関係は、「恋愛」というよりも、同じ孤児として苦労して生きてきたのでシンパシーを感じる者同士という存在なのかもしれません。

寛太は、「直美が実の母親を探している」ことを知って、常に心がけて探してくれる優しいところがあります。

なにかと手厳しい直美ですが、寛太が実は弱い者に優しく温かな部分を持っていることを知っています。邪険にしているようで気になる存在ではあるのでしょう。

軍人姿が板についていた寛太。(NHK「風、薫る」公式サイトより)

吾郎は鈴木良光を意識した人物か創作の人物か

今回新登場した小川吾郎(甲斐翔真)は、本物の「近衛歩兵第3連隊」の軍人なので、「陸軍の軍人」という部分では寛太のときより、モデルの鈴木良光に近い感じです。

けれども、良光をモデルにしたキャラクターなら、なぜ九州人設定なのでしょうか?良光は江戸生まれです。

良光は、明治10年(1877)1月29日に勃発し、同年の9月終結した西南戦争で九州へ出征しています。

その数ヶ月間でドラマの吾郎のように流暢で自然な九州弁が話せるようになったのか……とは考えづらいかも。何かしら意味があっての九州人設定だとは思うのですが。

吾郎は、最初は直美に対して「女のくせに生意気」という感じでしたが、直美の働く姿に見惚れつつ「大家さんは看護婦が天職だ」と言うようになりました。

実際は、良光は雅が看護婦になる前に亡くなっているので、そのような会話はなかったでしょう。

りんのモデル・大関雅は、西南戦争の年に栃木で息子を出産、雅は西南戦争で出世した夫と結婚。

吾郎は、この時代にいたであろう若き軍人像がモデルとも推測できるかもしれません。

ただ、まだ「病院で出会っただけ」の段階です。これから会話も増えれば、どのような人物像なのか、夫候補なのかが分かってくるのでしょう。

吾郎は直美の「看護婦は天職」をどう捉えているのか

ところで、今週、14週『ウソと誠』では『天職』という言葉がよく登場します。

▪️看護学生に「一ノ瀬先生は看護婦が天職だから」と直美

▪️「先生は看護の仕事が天職だと思っていますか?」と聞いた、辞めていった看護学生のヒデ(池田朱那)

▪️「天職にしたいと思っている。看護婦の仕事は好きで楽しいから。」と答えるりん

それぞれの「天職」とはどんなイメージしているのでしょうか。

自己犠牲を惜しまず「白衣の天使」として奉仕し続けること?近代看護の生みの親で、看護婦を天職としたナイチンゲールはそんなことは言っていません。

自己犠牲の精神で働くのではなく、責任を自覚し社会的に自立した精神で働くこと、看護の仕事に使命感を感じることが大切だいうことを教えていたそうです。

「看護婦が天職」を実感できるのは、りんも直美も、この先帝都医科大附属病院側を辞めてから実感するのでしょう。

なんといっても、今の状態は大学病院側(特に院長と副院長)が彼女たちの学んだ知識やスキルにフリーライドして利用しつつ、ミスがあれば責任を押し付けている理不尽極まりない状態。

こんな職場環境では、どんなにスキルがあっても「天職」だと実感できるわけもありません。

実際、和も雅も大学病院を辞めてから、まさにこの二人は「看護」が天職だったんだなと思わせるような偉業を成し遂げていきます。

純粋でまっすぐそうだけれども、まだ人物像は未知。(NHK「風、薫る」公式サイトより)

最後に……

小川吾郎も「大家さんは看護婦が天職だ」と言ってましたが、それが「献身的に奉仕する天使のような女性」という、古臭い考え方から来たのではなければいいのですが。

もしくは、働く直美を見て「こんな女性が“嫁”になったら家庭を安心して任せられる」と想像していたら。たぶん直美とは上手くはいかないのではないでしょうか。

果たして軍人・小川吾郎は、直美の運命の人なのか……今後の二人の距離感が気になります。

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参考:朝ドラ「風、薫る」原案『明治のナイチンゲール 大関和物語』田中ひかる

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