2003年初演、野田秀樹の傑作『オイル』を2026年の今、どう見るのか――演劇ユニット「犬猫会」が新たな視点で挑む舞台、11月に東京・上野で上演 (2/3ページ)
「島根には石油があった」という学説が広がる中、アメリカ、日本、神話の世界が入り混じる物語が展開します。
『オイル』の主人公は、電話交換手として働く女性、富士。アメリカへの復讐(ふくしゅう)を願う彼女は、神の声を伝える預言者となり、時空を超えた歴史のうねりの渦中に引き込まれていきます。戦争や石油をめぐる日米の関係や、激動を生きる人々の感情は、「被害者/加害者」「敵/味方」と単純化できない、戦後日本の複雑な記憶を観客に投げかけます。
■野田作品の言葉遊びとスピード感に、犬猫会ならではの新たな視点を重ねた意欲作
本公演は、日本劇団協議会が主催する「日本の演劇人を育てるプロジェクト」新進劇団育成公演として採択されたことを受け実現しました。犬猫会では初となるオーディションを実施し、出演者と演奏者を公募。これまで犬猫会に参加してきた仲間たちとも一丸となって、舞台を作り上げています。
2003年初演の『オイル』を、20年以上が経過したいま演目として選んだ理由について、犬猫会の俳優・脚本家である山下は、「『戦争』という言葉が日常のなかでちらつくようになったロシアのウクライナ侵攻も思えばきっかけのひとつ」と語ります。
また、犬猫会の演出家である水野は「今回、犬猫会は野田秀樹の戯曲に挑みますが、単なる「野田秀樹らしさ」の再現は目指しません。彼の作品特有の言葉遊びやスピード感を生かしながらも、2026年の視点から『オイル』と改めて向き合います。」と、今回の上演に込める思いを明かしています。
戦後80年を経て、“戦争を知らない世代”が大半を占める現代。だからこそ、「今、戦争とどう向き合うか」を観客とともに考えたいというのが犬猫会の思いです。一部の公演では、出演者によるアフタートークや、観客同士で自由に語らえる「Theater Cafe(シアターカフェ)」を実施。野田秀樹氏の傑作と名高い本戯曲を、より深く味わう場を提供します。