【ブラッサム】前代未聞の同棲後押し!なぜ珠を次男の元へ送り出した?叔母・照子と実在モデル・藤村カツの思惑 (2/2ページ)

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【ブラッサム】珠を「文学の道」へ導く4つの転換点――悪評で居場所を失った受難と、運命を変えた“救世主”

【ブラッサム】珠のモデルと結婚も束の間、置き去りにされ…木村保(金子大地)のモデル・藤村忠の生涯

※1:珠にとって、亡き実母の妹なので「叔母」
※2:宇野千代にとって、亡き実母の姉なので「伯母」

明るい笑顔と押しの強さが個性的な木村照子(NHK「ブラッサム」公式「X」より

失踪した長男より優秀な次男・保に期待する照子

木村照子は、葉野珠(石橋静香)の亡くなった実母の妹で、珠が16歳の頃、長男の享一(小堀正博)との縁談を持ち込んできた人物です。

珠の動揺には頓着せず、「姉様の娘ならうちの娘と同じじゃ」「姉さんにそっくりじゃ」と、頬に触れようとします。

すごく距離感が近い照子。

「享一のことも覚えてらんねえ?」と言いつつも、「でも大丈夫!」とでも言うかのように縁談に自信満々で、初回登場から「我が道をゆく」強引さが光っていました。

けれど、この縁談は色街に入り浸りの長男が「嫁を貰えば、落ち着いてくれるだろう」と照子と夫が無理矢理仕組んだものだったのです。

その事実を弟の保(金子大地)は珠に教え詫びました。そして「やめじゃ!」と婚家から夜逃げ出した珠。照子は「こちらに落ち度があった」と謝罪しました。

照子は長男を見限り、京都の第三高等学校から東京の帝大に進学する次男・保を可愛いがります。

「あんたしかおらんのじゃけ」。

東京帝国大学(1903年から1904年に撮影)wiki public domain

保と珠が「一緒になったらええ」と大胆発言

夏休みを利用して、京都から帰省した保と偶然にも再会した珠は、毎日のように会っておしゃべりを楽しみます。

保は、珠の悪い噂は知っていたけれども気にしていません。

照子も「肩身の重い思いをして不憫じゃねえ。」と珠の状況を懸念しています。

村人たちのように「ふしだらな娘と親しくするな!」と言わず、珠の置かれた状況を「不憫」と言う照子は、保と同様、噂には乗らない現実的な判断力の持ち主のようです。

夏休みが終わり京都に帰った保と珠は、文通で縁がつながります。

そんなある秋の日。突然、珠の家を照子が訪れました。。

「久しぶりじゃねえ〜」といいつつ、どんどん部屋に上がり込むところは、相変わらず時の流れを感じさせないマイペースぶりです。

そして突然、「珠、あんた京都にいかん?」と切り出します。

一人暮らしの保の身の回りの世話をして欲しい。私は主人が具合が悪いので行けないしねぇ……「じゃけ、私に代わりに。」

「保さんのお世話がかりをせぇ言うことですか?」と戸惑う珠が尋ねると、まあそうだけれどと言いつつ、「男の女のことじゃけねぇ。ゆくゆくは一緒になったらえぇ。」と、屈託なく大胆な発言をする照子。さすがです。

「享一さんの次は保さんでいうことですか」と、いつもは穏やかな珠の義母・リョウ(国仲涼子)が険しい表情で尋ねると、

顔色一つ変えずに間髪れずに「ちょうどええじゃろ?」。

悪びれず自信満々に言う照子。押されて思わず頷いてしまいそう。

「逢引きじゃぁなんじゃぁ言われて、しんどいんじゃない?岩国から出て保のところに行きなさい。保は来年帝大にいくし将来性もある。ええ話じゃろ」

「このままじゃあ、あんた岩国じゃ嫁にいかれんよ」

遠慮のないドストレートな言葉ですが、不思議と嫌らしさがないのが照子の魅力でしょう。「絶対、そのほうがいい」という信念と「姉にそっくりな珠=自分の娘」という思いが感じられるからかも。

珠は一度は断るも、再就職先は悪評のせいで解雇、兄弟たちもいじめられ、次の仕事は見つからず、一家は困窮……自分のせいだと苦しむ珠を助けようと、リョウは照子のもとを尋ね、あらためて保の世話係を珠にさせて欲しいと頭を下げます。

照子は「あんた、享一の次は保か?と腹立ててたのに〜」といいつつ、「じゃけ、うちがええ条件じゃいうたのに。もったいぶって!」と破顔一笑しました。

珠を救うために照子に頭を下げるリョウ。(NHK「ブラッサム」公式サイト)

照子は「まさに“ブラッサム”している人」

照子を演じる山田真歩さんいわく、

照子はまったく迷いがなく、1ミリも自分を疑っていない人だと感じました。じめっとしたところがなく、すごくカラッとしていて、まさに“ブラッサム”している人。晩年の宇野千代さんにも通じるような、自分を信じ切っている強さを持っていると思いました。(NHK「ブラッサム」公式サイト)

確かに、その通りのキャラクター。悪びれるところもなければ遠慮するそぶりもなく小気味いい。こんな強さが欲しいなと思わされる魅力的な人物だと思います。

「自分がいいと思ったことは間違いない」という信念のベースには「相手にとってそれが一番いい」という思いがあるから、ただの自己中にならず相手にす〜っと届くのでしょう。

このドラマの舞台、大正時代は女性が堂々と意見を主張社会でした。自分の思うがままに確信を持って発言する行動力のある照子のような女性は、まだまだ希少な存在だったのかと思います。

まっすぐに物をいうけれど、嫌味やキツさはない照子(NHK「ブラッサム」公式サイト)

モデルとなった藤村カツも照子と似ている感じが

この木村照子のモデルとなった人物は、宇野千代の実母・宇野トモの姉の藤村カツと考えられます。千代の最初の結婚相手・藤村亮一とその弟藤村忠の母親です。

宇野千代の自伝的小説『生きていく私』でも何度か登場するのですが、まさにドラマの照子を彷彿させるような人でした。

千代が長男の亮一から逃げてから数年後、臥龍橋の河原の店で氷を食べていたカツが、通りすがりの千代を見かけて声をかけたのでした。

「ありゃ、千代さんかいの。あんまり別嬪におなりたので、よっぽど、見間違えるところじゃったでよ」(「生きて行く私」)

人々の千代の噂話もなんのその、堂々と気軽に姪に声をかけほめる気さくな伯母。その時、隣に座っていたのが、次男の藤村忠だったのです。

この再会がきっかけで、宇野千代は伯母の家に遊びにいくようになりました。

ドラマでも表現されていましたが、伯母は「京都の三高に通い一人暮らしの次男が心配だけれど、お父(夫)を残して私が行くわけにはいかない」という話を何度も千代に話をしたそうです。

千代と忠の関係はやがて家族ぐるみのものとなり、間もなく忠の母に促されて京都の彼の許へ赴く。(NPO宇野千代生家 宇野千代の人生と文学)

そうして、宇野千代は、自然と京都へ行く気になっていったそうです。

久々に会った伯母が、千代と弟妹たちに甘く煮た小豆と砂糖水をかけた「氷金時」をおごってくれた。(phot ac)

伯母の後押しで保と同棲することになった千代

「三高出身の帝大のエリートなら、いいところの嫁をもらえるのでは?」

「お騒がせな珠を、可愛いい次男と一緒にすることに抵抗はないのかな?」

など、ネットでは照子の行動を推察する意見をいろいろ見かけます。

照子は長男の件も・珠が逃げたことも・悪評も、終わったことなどどうでもいいと思ったような気がします。

シンプルに、可愛い姪の珠と可愛い自分の息子の保ならきっとうまくいく……「保も助かる・自分も助かる・珠も窮屈な思いをしなくていい」、まさに「三方よし」な話だと確信したのではないでしょうか。

この後、史実では宇野千代は伯母や義理の母に背中を押されて京都の三高在学中の保のところへ行き同棲を始めますが、ドラマでは帝大に進学した保のお世話係として東京へと旅立ちます。

「姉にそっくり」という想いが溢れ、そっと珠に触れようとする照子。(NHK「ブラッサム」公式サイトより)

宇野千代の大好物だった「いが餅」

余談ですが、気になったのがリョウが木村家へのお土産に持ち込んだ菓子箱。

こっそりふたを開けた照子の顔が「わ〜ぉ!」と嬉しそうにほころんだのが気になりました。これは『いが餅』という鮮やかに染めた餅米の和菓子で、宇野千代の大好物で一度姿を消したものの復刻したそうです。

「復刻されたいが餅は、後日、宇野千代先生のもとにも届けられ、「美味しかった」と秘書を通じて言葉が伝えられたといいます。(「おいでませ山口へ」山口県東部|和菓子好き必見!宇野千代が愛した”いが餅”も!…)」

「いが餅」出典:農林水産省ウェブサイト https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/42_29_hiroshima.html

綺麗で可愛らしくて柔らかそうで、美味しそうですね。

最後に……

「私の言うことは間違いない」と、叔母の照子。

『珠さま…、逃げんさい』と、絶対的味方のリョウ。

珠を大切に見守っている二人に背中を押され、岩国を後にした珠は東京で保と暮らすようになります。

けれど、それで大団円になりません。より、ひと波乱もふた波乱が起こる未来はすぐそこに待っています。

新しい世界に魅了される珠・「文学」との新しい出会い・心に閉じ込めていた才能の開花・けれど、それが導く保との終焉……この目まぐるしい史実での展開は、ドラマではどのように描かれていくのでしょう。

そして、保と珠はうまくいくと確信を持っていた照子は、どのような行動をするのでしょうか。

朝ドラ「ブラッサム」に関して、下記記事でも取り上げています。ぜひご覧ください。

朝ドラ『ブラッサム』元夫の弟と同棲&4度の結婚!ヒロイン葉野珠(石橋静香)のモデル・宇野千代の生涯【前編】

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参考:
・「生きて行く私」宇野千代(角川文庫)
・「おいでませ山口へ」作家・宇野千代とは?波乱万丈な生涯と故郷・岩国で育まれた人生観
・NHK「ブラッサム」公式HP インタビュー山田真歩さん(木村照子)
・NPO宇野千代生家 宇野千代の人生と文学)

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