ジャーナリズムの新時代? 虐待致死事件を再現したVRプロジェクト (2/3ページ)
『Use of Force』ではVRヘッドセットなどを使い、ロハスさんが殺された現場に立ち、歩きまわったり見回したりする事ができるのですが、行われている暴力行為を止めることはできません。
虐殺が行われているところに、ある程度のインタラクティブ性を持って自らも存在する『モダンウォーフェア2』の1シーン、「No Russian」を思い起こしもします。
実際にこれを体験したMotherboardのクリストファー・マルモさんは「心が動かされる作品。シミュレーションと理解していても、うつ伏せになり手錠をはめられた男が国境警備隊員に残酷に殴られ続けるところを、自分は何もできずに見るしか無い状況で、不安がどんどん高まっていった」と書かれています。
SFでは「タイムマシンで過去の大惨事の現場に行って、安全な場所から野次馬として見物する観光ツアー」が描かれていたりもします(例えばC・L・ムーアの『ヴィンテージ・シーズン』や映画『タイム・シーカー / タイムクラッシュ・超時空カタストロフ』とか)。
どこかそれにも似た、しかしその場にいながらも何もできない悪夢的な状況を追体験するという事。これはある意味、ニュースで他人ごとのように報道され、その現実性の薄らいだ残酷な事件を、その衝撃性をなるべく薄めること無く伝えることのできる新たなジャーナリズムの形かもしれません。