松本ハウス、統合失調症を乗り越えた10年|プチ鹿島の『余計な下世話!』vol.73 (2/2ページ)
一方、松本キックさんは「ひとり」になったあと、私たち若手の指導や役者としての活動も始めた。
「10年かかってもいい、またやりたくなったら言ってこいよと加賀谷には言っていた。そうしたらホントに10年後に戻ってきた(笑)」と最近キックさんは言っている。
『統合失調症がやってきた』を読んだ医療関係者からは、10年間の「松本キックさんの加賀谷さんへの距離感」を絶賛する声が多い。加賀谷さんを慌てさせないよう優しく気づかっていたのだ。それは私もキックさんの近くにいて実感していた。加賀谷さんが戻ってこない可能性のほうが高かったはずだ。「たまたま」10年後にコンビは復活したが、こんなに未来がわからない10年を、人は穏やかに冷静に過ごせるものだろうか? と。加賀谷さんや後輩のために、こんなに時間を使ってくれるものだろうか? とそのデカさに驚いた。
今回のドラマでは「今の自分」を受け入れることが描かれている。考えてみればそれは復帰後の松本ハウスの足跡そのものだ。ハウス加賀谷はこう語る。
《実はですね、考えると僕はラッキーボーイなんですよ。復帰して、このバリバラが始まりまして。当事者としてそのとき素直に思った気持ちは、シメシメ!なんですね(笑)。そして今回、このオファーをいただいたときは、そら見たことか!と。》(番組HP)
現在松本ハウスは通常のお笑い活動と並行して全国から講演会に引っ張りだこ。今、私はつい「通常のお笑い活動と並行して」と書いてしまったが、松本ハウスにとっては通常も特殊もない。「健常者」も「障害者」もないように。どこであろうと求められたら行くだけ。そこで笑わせている。
まさにバリアフリーを実践している! すごい兄貴分です。
Written by プチ鹿島
http://n-knuckles.com/serialization/img/kasimaph.jpgプチ鹿島●時事芸人。オフィス北野所属。◆TBSラジオ「東京ポッド許可局」◆TBSラジオ「荒川強啓ディ・キャッチ!」◆YBSラジオ「はみだし しゃべくりラジオキックス」◆NHKラジオ第一「午後のまりやーじゅ」◆書籍「うそ社説 2~時事芸人~」◆WEB本の雑誌メルマガ ◆連載コラム「宝島」「東スポWeb」「KAMINOGE」「映画野郎」「CIRCUS MAX 」