『バイオハザード リベレーションズ2』開発チーム&漫画家・芹沢直樹氏にインタビュー

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『バイオハザード リベレーションズ2』開発チーム&漫画家・芹沢直樹氏にインタビュー


歴史的傑作となった第一作からゾンビゲーム、ホラーゲームの最先端として作品を重ねてきた『バイオハザード』シリーズ。

今回は最新作となる『バイオハザード リベレーションズ2』の開発チームと、本作との公式連動コミック『バイオハザード ~ヘヴンリーアイランド~』を手がける漫画家・芹沢直樹氏にインタビューして参りました。


『バイオハザード リベレーションズ2』開発チーム

ゾンビメイク姿の芹沢直樹先生(ゾンビメイク:自由廊 沼崎)


――本作のテーマや特徴はなんでしょうか? また、製作者としてこだわったところ、苦労した点があれば教えてください。

岡部眞輝(『バイオハザード リベレーションズ2』プロデューサー、以下岡部):前作好評だった点は本作でもおさえようと思いました。大きくは「クラシックなホラー感」と「エピソディック」の2つです。

それをどうブーストさせるか? というところで採用した、一週間に一本ずつエピソードが配信されていくという形式が、本作では大きなチャレンジでした。作り方も前作とは全く異なっています。

前作にもあった、いわゆる前回のあらすじは海外ドラマの演出をそのまま採用したような形でしたが、本作では(配信版に限り)次回予告が入った後にリアルに配信まで待ってもらう必要があるので、本当にテレビドラマと一緒です。

毎週の配信なので、一つ一つのエピソードが面白くないといけないですし、次をプレイしたくなる要素を入れて、プレイヤーが途中でやめてしまわないようにする必要があるので、そういった点は苦労しましたね。

本作にはバイオシリーズのオマージュも入っていますし、過去作品とのつながり、そしてコミックとのつながりもあるので、そういったところを見逃さずに楽しんでほしいです。もちろん、エピソードが終わる度に「あそこはどういう伏線だったんだろう?」とメインストーリーに関しても話題にしてもらえるといいなと思います。


――前作は「裏切り」というのが物語上の肝だったと思うのですが、本作のストーリーの根っこにはどういったテーマがあるのでしょうか?

岡部:本作に関しては、割りと身近にある、家族愛や兄妹愛といった、誰にでも伝わりやすいテーマがコアとなっています

共感しやすい要素が多いと思うので、バイオシリーズにあまり触れたことがない人でもとっつきやすいはずです。BSAAが何なのかわからなくても遊べますし、わかっていれば色んなところにネタは散りばめられているので、他作品とのつながりなどが見えてくると思います。


川田将央(『バイオハザード』シリーズプロデューサー、以下川田):とはいえ、前作同様ギミックは仕込んであるので、驚きもあると思いますね。



ラクーン事件の生存者であるクレア・レッドフィールドとバリーの娘モイラ・バートン


愛娘モイラを探すバリー・バートンと謎の少女ナタリア・コルダ


――コミックも、ゲームと同じように驚きの展開が毎号起きるのでしょうか?

芹沢直樹(『バイオハザード~ヘヴンリーアイランド~』作者、以下芹沢):そうですね。テレビドラマのような「次はどうなるんだ?」と予想させるような展開にはなっています。


瀬戸康洋(『バイオハザード』シリーズ開発スタッフ、『ヘヴンリーアイランド』のシナリオ担当、以下瀬戸):漫画のシナリオはカプコンで作っているんですが、週刊マンガだと最後の絵とか話の切れ目が次を読ませるのに大事なので、芹沢先生や編集者さんからアイディアをいただいて、展開を入れ替えるというのは頻繁にやっていますね。


川田:ベースのストーリーは結末まで出来上がっているのですが、連載を進めていく中で、ここは変えたほうがいいんじゃないか? といった修正箇所はやはり出てくるので、先生と相談させていただきながら調整しています。



水着姿のアイドルたちが大変なことになるらしいコミック版


――コミック版は「のんきに構えていた人たちが巻き込まれる」という点で、「武装したプロが乗り込む」のが基本であった最近のバイオ作品にはなかったストーリーだと思うのですが、こういった展開を採用した理由はあるのでしょうか?

川田:ゲームの場合、自分が動けないとゲームにならないという特色がありますよね。特にバイオハザードの場合その傾向が強いんですが、ある程度強い人物が主人公になりがちです。

そこで、コミックでは読者に近いという形での「体感性」というのを打ち出していきたいと思い、シリーズでは非常に珍しい、日本人を主人公にしたシナリオにしました。そういった、これまでのバイオハザードにはなかったポイントが魅力だと思います。


――水着のギャル集団がキャッキャウフフからの凶悪な展開へ突入......というのは、少し『ピラニア3D』といった作品を思い起こさせます。

瀬戸ホラー映画にアイドルはつきものですからね(笑)。『シャーク・ナイト』とかにはけっこう影響を受けたかもしれないです。

ただ、バイオは今まである種硬派路線でやってきたので、ホラー・コメディの側面は出していなかったんですが、設定を上手く使えば、水着の女の子を出してもいいんじゃないかな? と思って採用しました。ただ、コメディの方には一気に寄るつもりは全然ないです(笑)。


川田:芹沢先生が描かなければ、もっと軟派なマンガになっていたかもしれませんね(笑)。そこはバランス良く描いていただいて、バイオらしい内容になっているので、シリーズのファンにも楽しんでいただけるはずです。



ゴボッとした腹部がグロかわいいスプローダー


グロかわいい幼生をしこたま吐いてくれるグラスプ


――バイオシリーズではゾンビに限らず、さまざまなクリーチャーが登場しますが、製作の際はクリーチャーが先にあって、ストーリーを発想するのでしょうか? それともストーリーが先にあって、クリーチャーを作っていくのでしょうか?

岡部:『リベレーションズ2』に関してはストーリーが先ですが、シチュエーションによって変わります。

ゲームの場合、こいつはやられ役のクリーチャー、こいつは殺しに来るクリーチャーといったように、プレイヤーに対する目的が各クリーチャーに必要なので、クリーチャーの役割からストーリーを展開していく場合もあります。


川田:コミックに関してはまずストーリーがあって、瀬戸が「ぐわーって感じで!」とか漠然と表現するイメージを、芹沢先生が絵に描いてくれるという流れです。それがちゃんとバイオテイストに仕上がってくるので、本当に芹沢先生には感謝しています(笑)。


芹沢:僕がやっているのは、カプコンさんからいただいたラフデザインを、漫画に清書するみたいなことですかね(笑)。

瀬戸:本作での特徴としては、鎖とか銛といった、過去のバイオにはあまり登場していない武器を持ったクリーチャーをあえて採用しています



――先生がクリーチャーを絵にしていく上で一番こだわっているのはどういったところでしょうか?

芹沢:バイオシリーズの大ファンなので、過去作に登場したクリーチャーの雰囲気などは意識しながら描いていますね。一番気をつけているのは肌の質感です。本作だと海のイメージがあるので、ぬめぬめしたところとかですね。


――先生の『バイオハザード』シリーズとの出会いはいつだったのでしょうか? 前作の『バイオハザード~マルハワデザイア~』でコミックを担当すると決まった時、お気持ちはいかがでしたか?

芹沢:学生時代に一作目の『バイオハザード』を買って、プレイしたのが最初です。そこからのめり込みました。

最初にお話をいただいた時は驚きましたね。後、僕が漫画にして大丈夫なんだろうか? という気持ちもありました。


――今回で芹沢先生が手がける『バイオハザード』のコミックは2作目になるわけですが、何か前作をふまえて意識した点などはありますか?

芹沢:前作は初めてだったので手探りでやっていた部分もあったのですが、今回はその経験を活かしながら描いているので、より怖さが出せているんじゃないかなと思います。

後は、やりすぎにならないようにするバランス感覚は意識しています。なので、前作よりは読みやすくなっているはずです。



芹沢先生描き下ろしの「クレア」


――プレイヤー/読者を「怖がらせる」ためにこだわったポイントがあれば教えてください。

川田:ゲームに関しては、スプラッター表現にはあまりこだわっていません。どちらかというと「この先どうなるんだろう?」という体感性を目的にしています。特に最近はそうですね。

漫画の場合は、ゲームに比べてシミュレーション的な要素やインタラクティブ性を表現するのは難しいと思うので、スプラッターやいわゆるエログロと言った「ホラーには欠かせないエッセンス」だけど家庭用ゲーム機では取り入れるのが難しい部分をしっかり表現することで、ホラーの面白さ、怖さというのを活かしたいというのは、今回のコミックでも提案させていただきましたね。


芹沢:本作の漫画に関しては、女性の登場人物、水着美女が多いので、エログロの部分は重視しました

イメージで言うと、前作のゲームにおける、レイチェルのエロい感じと彼女がクリーチャーと出くわした時に生まれるグロいシルエットみたいなものを表現できたらいいなと思って描いています。


――ホラー作品を作っていて一番楽しいと感じるのはどういったところでしょうか?

川田:映画と一緒なのかもしれませんが、プレイヤーが怖がっているのを見るのが一番達成感のある瞬間なので、「ここで怖がってくれるんじゃないか?」と考えながら作っている時が一番楽しいですね。


芹沢:漫画の場合、読者によって読むスピードやタイム感が違うので難しいのですが、ページをめくった時にびっくりするような表現というのは意識しますし、そこを考えるのが楽しいですね。


瀬戸:やっぱりクリーチャーを考えている時は楽しいですよね。あと漫画に関して言えば、水着の女の子たちがずらっと並んでいる光景をどうホラーな状況に変化させていくか? という変化の部分を考えるのは楽しかったです。


川田:つかみとしてキャッチーな女の子の絵とかは出すんですが、バイオハザードらしいシリアスな展開にはなっていくので、そこの過程を楽しみにしていただきたいですね。こちらも作っていて楽しかった部分なので。


――ここ最近、アメリカを中心にゲームと映画/ドラマの結びつきが強くなってきていますが、映画/ドラマを作ってみたいという気持ちはありますか?

瀬戸:ドラマはやっていないので、機会があればやってみたいですね。意外と日本では、ゲームから一番遠いのはドラマかもしれないので、難しいでしょうけど。


川田:『リベレーションズ2』には映画監督の山口雄大さんに参加していただいたんですが、こういう演出もあるのか! という部分ですごく勉強になりました。

例えば、過去作ではあんまりやってこなかった顔のアップカットというのが、本作ではけっこう取り入れられており、インパクトを強くしていただいています。表情を作るのは大変なので、製作側はあまりやりたくない演出なのですが、今回はあえてやっていますね。

芹沢先生もそうですが、多方面の方々と交わることで色んなことを学びつつ、それをゲームに落とし込んで、もっと可能性を広げていけたらとは思っています。


――最後に、皆さんの一番好きなホラー/ゾンビ/クリーチャー映画はなんでしょうか?

芹沢:果たしてホラーなのか、そしてゾンビものなのかどうかも微妙な気がしますが、『バタリアン』ですかね。インパクトのあるキャラクターとポカーンとする終わり方が好きです(笑)。


川田ダリオ・アルジェントが好きですね。初期の『サスペリア』や『フェノミナ』は映像美もそうですが、音楽も秀逸ですよね。彼が監修したジョージ・A・ロメロの『ゾンビ』(ダリオ・アルジェントが音楽、ヨーロッパ版の監修などを担当)も趣が変わっていて面白いです。まあ『デモンズ』以降はちゃんとは見ていないのですが...(笑)。


瀬戸:一作目の『エイリアン』です。閉じ込められていて逃げ場がない、寄生されるといった恐怖もそうなんですが、エイリアンにダメージを与えても酸の血が出てくるといった追加の絶望要素もあって、究極にホラーな状況が最高に怖かったです。これを超えるものはまだ出てきていないんじゃないかと、個人的には思います。


岡部:ちょっと角度は違うんですが、小学生の頃、マイケル・ジャクソンの『スリラー』のミュージック・ビデオが怖くて見られなかったんですよ。でも二十歳を過ぎて見直したら、すごくしょぼく見えて、「なんであんなに怖かったんだろう?」と感じたのが印象に残っています。

当時としては全くB級ではない、豪華な作りだったと思うんですが、やっぱり技術が進化した現代のCGなどと比べると、チープにも見えてしまうということと、逆に今のCGでは当時の特殊効果だからこそ感じられたオドロオドロしさがなかなか作れないんだな、と思いますよね。





『バイオハザード リベレーションズ2』は、PlayStation 3、PlayStation 4、Xbox 360、Xbox One、PCで2月25日(木)より配信中。PlayStation 3、PlayStation 4、Xbox One対応のディスク版は3月19日(木)に発売です。

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『バイオハザード リベレーションズ2』公式サイト

スタナー松井

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