ワインボトルに封じ込められた情景ミニチュアがすごい!「箱庭屋・安田誠一個展」レポート
夕日に照らされたマッターホルン。この”情景”はミニチュアなのですが、ただのミニチュアではありません。ワインボトルに収められ、上から照らす光によって表情が変わっていく……なにこれすごい。わくわくする……!
「ボトルスコープ」

「ボトルスコープ」と名付けられたこの作品は、自ら「箱庭屋」を名乗るアーティスト・安田誠一さんの手によるもの。

リアルなワインボトルの裏がくり抜かれています。そしてその瓶の口に目を近づけると……

中にスイスの情景が。
そしてワインボトルのくり抜かれた白い部分は、このミニチュアの”空”。この”空”にどんな照明を当てるかによって……

夕陽に照らされたマッターホルン。ミニチュアの”情景”が変わるのです。何これ楽しい!

これはイタリアのボトル。

こちらはスペイン。
箱庭屋・安田誠一個展

紹介が遅れました。今回お邪魔したのは、中野ブロードウェイ4階「GALLERYリトルハイ」で開催中の箱庭屋・安田誠一個展「旅する眼〜封じ込められた美の風景〜」。
3月24日まで開催しています。(水曜休廊)

こちらの個展では、アート個展としては珍しい様子が見られます。

ギャラリーを訪れたお客さんは全員、何かを覗き込んでいる。なぜならば安田誠一さんの作品は……
「かいまみ〜垣間見〜」

大きめな万華鏡にも見える、竹の筒。この中には、ワインボトルとはまた違う”和の情景”がミニチュアとして収められています。

これは「名所江戸百景 浅草田甫酉の町詣」と題された作品。覗き窓は襖障子のようになっていますね。この中を覗くと……

おや、中に猫がいますね。

もちろんこの「かいまみ」シリーズも、入れる光によって情景が変わります。そして実はこのモチーフは……

歌川広重・作『名所江戸百景 浅草田甫酉の町詣』。「かいまみ」のシリーズは、浮世絵に描かれた江戸の情景を始めとした、純・和風風景が収められた作品群なのです。
「この浮世絵の”枠”の外を想像するところからミニチュアの製作が始まります」とは、在廊していた安田さんご本人のコメント。確かに「かいまみ」の視野は、浮世絵の外まで広がっています。浮世絵に描かれた時代、そして描かている情景の環境に整合性を持たす作業が大変なのだとか。

こちらは同じく広重名所江戸百景より、「金龍山浅草寺」。

これは「大原三千院」。

「千本鳥居」。
もちろんこれら全て、蛍光灯の下で見れば明るい昼間のように、斜めから白熱灯の光を入れれば夕陽の情景に、手で覆えばまるで薄暗い雨模様のように……。風景の一瞬を切り取っただけでなく、天候等で刻一刻と変わる様子さえ、手のひらの中に収まっているのです。
「箱世界」

はて、筒状ではないコレは一体……。

単なる箱だけでなく、オカモチに収まる形となっています。これは「箱世界」と名付けられたシリーズ。
個展の案内パンフレットからこの「箱世界」の説明を引用します。
小箱を覗くと、眼の前に広がる世界。
光の変化でシーンは昼間から夕暮れ、夜へと変化してゆきます。
居ながらにして世界を旅する「箱世界」さまざまな風景をオカモチに詰めて出前する「箱庭屋」です。
安田誠一さんが「箱庭屋」を名乗るのは、この「箱世界」のコンセプトから、かもしれません。
さて、では覗いてみましょう。「箱世界」――

この箱は「カナディアンロッキー カナダ」。

中を覗くと、筒状だった「かいまみ」や「ボトルスコープ」に比べてパノラマな情景が広がります。

箱の背後にセットする「空色」のプレート。青空か、夕陽の空をセット出来ます。これを交換すると……

夕暮れの山脈が見えました。

また、箱の上のパーツは開閉式。開けたり閉めたりすることで、ミニチュアに降り注ぐ光の量を調整出来ます。
夕陽のプレートを背面に、そして光を遮るようにフタを閉めると……

まるで別物! この”情景”の変わりようが「箱世界」シリーズの魅力。
ここからは、安田誠一さん自身が「箱庭屋」公式サイトで公開している動画から紹介します。
「マーレ環礁(モルジブ)」
「チチェンイツァ(メキシコ)」
「周荘(中国)」
「湖水地方(イングランド)」
欲しく……なりますよね!?

もう一度お知らせします。今回レポートしたのは中野ブロードウェイ4階「GALLERYリトルハイ」で開催中の箱庭屋・安田誠一個展「旅する眼〜封じ込められた美の風景〜」。
なんと「ベネツィア」の箱世界が、ペーパークラフトになって販売されていました。

自分で作る……という手間はかかりますが、このように自分で箱に収めれば……

「箱世界」シリーズと同じ、空色パーツと採光調整の開閉フタも再現。

いいぞ〜コレ!(写真は展示されていた作例です。)
最後に

写真や動画で安田誠一さんの作品群を紹介しましたが、やはりこういうものは現物を見るのが一番です。ちょっとした光の加減が、カメラには収められない空気感を演出します。
安田さんご本人にもお話を聞きましたが、どの作品も写真を撮るのが難しく、何十枚と写真を撮った結果奇跡的に撮れた見られるものをブログ等で公開しているそうです(笑)。
箱庭屋・安田誠一個展「旅する眼〜封じ込められた美の風景〜」は中野ブロードウェイ4階「GALLERYリトルハイ」にて開催中。3月24日までです。(水曜休廊)
「箱庭屋」http://www.hakoniwaya.com/