悪夢のような夢のような単独ライブ:枡野浩一連載27
枡野浩一の「今夜も仲なおり」
第27回「悪夢のような夢のような単独ライブ」 3/23(月)と3/29(日)の二回公演を予定している単独ライブのうち、ひとつめの千川公演が終わりました。
ふたつめの荻窪公演( http://urx.nu/iRCx )がこれからなので、ライブの中身については伏せておきますが、大成功だったと言ってよいのではないでしょうか。芸人活動を始めてからの二年間で、もっとも悔いの少ないライブでした。滑舌や声量は相変わらず威張れたものではない状態でしたが、それ以外の部分は「今の能力ではこれ以上無理」と思えるくらい精一杯やれました。
じつは当日のリハーサルでの私は、すべての演目で台詞をまちがえるような、最悪のコンディションでした。会場準備のため極度の睡眠不足で、体力的にも限界だったのです。
が、ライブ本番直前に、目が覚めざるをえない事件が発覚しました。予約してくださった方のお名前をリストにする担当だった詩人が、全然そのリストを完成させていなかったのです。私のほうで予約人数は把握していたのですが、お名前の管理は詩人に任せていました。悪夢のような信じたくない事態です。
そのリストの完成が遅れていることを私はずっと気にしていて、毎日のように詩人に催促していました。本番前夜にも催促してます。
詩人が私によこした返信をいま読み返してみると、詩人は最初から、そのリストを本気で完成させる気がなかったのだとわかります。
《リスト見直します。ラインとメール、のみを、たどれば良いと思うので、一月からのラインとメールを。うーむ。出力と進行表作成、各ネタの小道具リスト作成のあとになるので、すみませんが力尽きるかも。でもやらなきゃですよね。睡眠時間などとのバランスが判断し難いところです》
なにが「判断し難いところ」だ。たしかに詩人にもやることが色々あったのですが、できないならできないとハッキリ言ってほしかった。ハッキリ言われていたら私が、二時間の睡眠時間をゼロ時間にしてでもリスト作成をしたと思います。詩人は睡眠時間を優先し、予告どおり力尽きて、ぐっすり眠ったようです。
詩人歌人と植田マコトは、事務所SMAの先輩である植田マコトさんと、後輩である詩人歌人が合体したトリオです。このようなミスがあった場合、ふだんは優しい植田さんが鬼のようになって詩人歌人を叱ります。もちろん我々は叱られて当然のミスをしたわけですが、悪いのは詩人なのです。なのに詩人は叱られたあとも他人事のように平然としてました。
私はすっかり震え上がり、眠気がふっとんで、結果、とてもいいパフォーマンスをすることができました。植田さんをはじめとする、全関係者のサポートも完璧だったと思います。
予約者リストが不完全なものだったのに見事な対応で切り抜けてくれた受付スタッフや、受付が混乱していたにもかかわらず温かく待ってくださったお客様に、陳謝し感謝します。
帰り道で泣きました。素晴らしいライブができたという嬉し涙でもありますが、それ以外の要素も含まれた複雑な成分の涙でした。
詩人は一度、死ねばいいのに。
【短歌】
やんなくちゃ
なんないときは
やんなくちゃ
なんないことを
さあやんなくちゃ
(枡野浩一『ハッピーロンリーウォーリーソング』角川文庫より)
【枡野浩一:プロフィール】
ますの・こういち
歌人。2013年春、まさかの芸人宣言。2013年秋、詩人の本田まさゆきと、お笑い芸人コンビ「詩人歌人」を結成。2014年秋、事務所SMA(ソニー・ミュージックアーティスツ)の先輩芸人・植田マコト(元「うえはまだ」ツッコミ)をむかえ、トリオ「詩人歌人と植田マコト」を結成。
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