巧妙さ増す北朝鮮の対日メディア戦略、金正恩氏が直接指揮か (2/2ページ)

デイリーNKジャパン

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警察の家宅捜査を受け、マスコミの取材に答える許宗萬総連議長/2015年3月26日

不思議なのは、この事件について日本のマスコミがまったく触れていなかった昨年5月の時点で、北朝鮮の労働新聞が報道していたのだ。それも、日本の週刊誌ばりの「迫真の事件ルポ」としてである。

その意図はおそらく、同月下旬に行われた日朝政府間協議で駆け引き材料に使おうとしたものと思われる。日本の外交官に対し、「そっちの手の内はすべてお見通しなんだよ。いったい日本政府は俺たちと話し合う気があるのかないのか、どっちなんだ?」と迫るのだ。

それをされると、タテ割り行政の弊害から捜査情報をまったく与えられていない日本の外交官は、対応に苦慮せざるを得ない。

また、朝鮮中央通信は2日、北朝鮮がマツタケ不正輸入事件にからめ、外交経路を通じて「日朝間の政府間対話もできないようになりつつある」と対話の中断を示唆し、謝罪を要求する通知文を日本政府に送ったと報じた。日本人拉致被害者らの調査に対する影響をにおわせ、日本政府を揺さぶる狙いがあるのは確かだが、ここにも様々なメディア戦略をからめてくる可能性がある。

筆者は、こうした情報戦略は金正恩氏の強いリーダーシップの下に推し進められていると見ている。

というのも、朝鮮労働党機関紙である労働新聞の編集が、以前なら考えられなかったほどざっくばらんな形になっているのだ。たとえば、朝鮮人民軍の新兵器の写真をタテ・ヨコ・ナナメから撮りまくり、それを何枚も掲載しているのである。

一介の編集幹部がこんなことをすれば、誰かに政治的に足をすくわれ、ヘタをしたら命にも関わってくる。そのため最高指導者が直々に指揮を取らなければ、恐ろしくて誰もこんな編集はできないのだ。

北朝鮮のメディア戦略を正恩氏が直接指揮していると考える根拠はまだまだあるが、それについては、日を改めて述べることにしたい。(高英起・デイリーNKジャパン編集長)

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