あなたなら、自分のお葬式の最期に流す曲に何を選びますか?【体験談】 (2/2ページ)
お腹がすいて買ったお弁当が、ちょうど777円だったので、ラッキーセブンだね、などとバカなことを言って、子ども心に母を元気づけようとしたことを妙に覚えている。母は疲れて途方にくれていたが、私はケンカの声が絶えない祖母の家から、離れられたことが嬉しくて仕方なかった。
だから、お金がなくなって、母が家へ帰ると言い出した時には、すっかりしょげかえってしまったものだ。祖母の家へ帰ると、祖母はひとことも口をきかなくなっていた。その後間もなく、母は新しい家を見つけて私たちは引越した。それからは、祖母とは滅多に会うこともなくなってしまったのだった。
■愛することの難しさを表現した賛美歌
賛美歌のメロディは、私にいろいろなことを思い出させる。そういえば、あの後、祖母は一度だけ私の運動会を見に来たことがあった。祖母は泣きながら、「ごめんね」といって抱きしめてくれた。その祖母が、今は目の前の棺のなかで安らかな顔で眠っている。ありがとう、ゆっくり休んでね、と心から思った。
後に知ったことだが、その賛美歌の歌詞は、愛することの難しさを表現したものだった。そして、自分の罪が、許されますようにという祈りのような歌でもあった。
祖母がいつも手元に置いていた聖書の「隣人を愛せよ」という言葉の下に、何度も何度も赤い鉛筆で印がつけられていた、ということも後で聞かされた。今でも、その美しいメロディをどこかで耳にするたびに、祖母を思い出す。愛することに不器用で、とても一生懸命だった一人の女性として。あなたは、人生最後の曲に何か一つ選ぶとしたら、どの曲にしますか。