「それでも北朝鮮と祖国の架け橋になりたい」 あるスウェーデン外交官の暗くて孤独な平壌ライフ (2/2ページ)
ホームパーティに北朝鮮の人々を招待したくても北朝鮮外務省の特別許可を得なければ彼の家に足を踏み入れることすらできない。そんな状態なので友達ができるわけがなく、彼は不便、不満に加えて孤独と闘いつつ平壌ぐらしを続けている。
それでも大使がいるときは話し相手がいてまだマシだ。しかし、業務や休暇で大使が出国している時、ボリ氏は平壌に一人残される。クリスマスの時に暗いアパートに一人で残された時には惨めさを感じたという。孤独を紛らわせるため時々趣味のサイクリングを楽しんでいる。車もなく道も広くて快適だが心は晴れない。
「クリスマスの夜、私は平壌でたった一人のスカンジナビア人になってしまった。両親が私に会いに来てくることを望んでいたが、エボラウイルスによる入国規制でそれも叶わなくなってしまった」(ボリ氏)
エボラウイルスによる入国規制措置が行われていた期間中、彼は近所の店にすら行くことを禁じられてしまった。食料は配給されたが、なぜか卵ばかりだったという。
それでも北朝鮮との架け橋になりたい北朝鮮が彼に期待しているのは平壌の「特別なところ」を見ることだ。平壌の衛星科学者地区などの新しい住宅団地は建物もカラフルで公園には中国製の遊具でいっぱいだ。もちろんそこは「特別なところ」で「真の平壌」での暮らしには基本的なものすら欠けている。でも、その奥深くまで覗きこむことは許されていない。
「数少ない平壌のエリートと地方の極貧の村に住む多くの人との格差は明確だ。他の国だったら自家用車や公共交通機関を利用するほどの距離でも田舎の人々は歩いて移動せざるを得ない」(ボリ氏)
貧しくとも懸命に生き抜く北朝鮮の人々の姿が強く印象に残っているというボリ氏。彼はまもなく離任するが、今後もスウェーデン大使館が北朝鮮と国際世界との対話をつなぎとめる架け橋になることを願っている。