40〜50代ニートが急増「中高年引きこもり」知られざる実態 (2/2ページ)
足立さんと同じく50代の引きこもりの大貫強さん<仮名・51歳>は、関西の私大を卒業後、先物取引会社に勤務したがあまりの過酷さから入社1か月で退職、20代は家庭教師やファストフードの店員といったアルバイトで生計を立てていたが、やがてアルバイト募集も年齢の壁にぶちあたり採用されなくなってきた。
上司から言われた指示には従えるが、後輩を指導することは苦手な大貫さんは、やがてバイト先にも足を運ばなくなる。FXや株式取引でデイトレードで小遣いくらい稼げる。だから勤めに出るのはやめた。幸い、実家にいくらかの資産がある。無理して働かなくてもやっていける。もう外の世界には出たくない。誰の目も気にしなくていい。だから部屋の掃除も滅多にしない。
概ね、50代の引きこもりの現状はこんなところだ。掃除をしない、溜った埃と空き缶、カップラーメンの容器がてんこ盛り。実家にそこそこの資産があり独立した部屋が与えられていることそできることだろう。
50代引きこもりは就職訓練中に脱落
もし彼らの両親が資産家でなければ、彼らは嫌でも社会に放り出される。その放り出される社会では、今、中高年ブラックバイトの問題が囁かれている。ある人材派遣会社営業職は、「中高年バイトのうちいくつかの業態では引きこもりを10年以上続けてきた人もいる。総じて彼らはストレス耐性に弱い」と話す。社会で揉まれた経験がないからだろう。
ハローワークでも50代の就職対策に力を入れている。だが引きこもっていた50代は職業訓練を施しても、「就職訓練中に脱落することが多い」(近畿労働局課長補佐)のが現実だ。
こうした人たちのセーフティネットとして考えられる生活保護制度のあり方も含めて政治、行政、経済界で問題を共有し、引きこもっている彼ら50代が社会で何を出来るのかを今考えなければ、これからますます中高年ひきこもりは増えていくことになる。早急に手を打たなければならない。
(取材・文/秋山謙一郎 Photo by Yuki Yaginuma via Flickr)