「家族はすばらしい」は本当? “家族信仰”の呪縛とは (2/2ページ)
■“家族の墓”は、いらない。
「家族という単位が苦手」と言う下重さん。戦中、戦後という、女性に対する視線が大きく変わっていく中を進んできた彼女は、昔の価値観を引きずる父や母を反面教師にして育ったため、従来の“幸せな家族”信仰に巻き込まれることなく、自らのライフスタイルに適した“つれあい”(夫)との共生の仕方を見つけることができたといいます。
家族がいるからといって幸せとは限りませんし、逆に家族がいなければ不幸せかというと、実はそんなこともありませんよね。そのことを証明するかのように、現在では、「家族の墓に入らない」という人が増えているそうです。「死んでまで、夫の家の墓に入って姑にいびられたくはない」と思い、「心の通じ合う友人たちや、自分の父母といたい」と願う年配の女性も増えているそうです。
現代では、同姓同士のパートナー認定制度や、入籍をしない夫婦、養子縁組など、かつてには認められてこなかったような多様な家族のあり方がようやく見えつつあります。
形骸化した“家族”よりも、心のつながりという一番大事な部分を守って人間関係を作っていく人たちが増えていくことでしょう。
本書では、従来の家父長制的価値観に対する批判と、これからの新しい家族のあり方についての提起がなされています。本書で主張される「新しい家族観」を、80歳にもなる女性が書いているというのは、新鮮な驚きです。
下重さんは、「家族を固定観念でとらえる必要はない。家とはこういうものという決まりもない。そこに生きる、自分達が快く生きられる方法をつくり上げていくしかない」と述べます。この考え方こそが、これからの“家族”のあり方をもっともよく表していると言えるかもしれません。
(新刊JP編集部)