『イナズマイレブン』といえば、小学生を中心に爆発的なサッカー人気の礎にもなったアニメ作品です。その中でも、一際異彩を放つ見た目・そして性格でピッチに君臨するのが、マントを被ったドレッドヘアの王子様「鬼道有人」くんなのです。

　小学生に人気がありますし、その可愛らしさが先に立つフォルムから、きっとギャグ満載のアニメなんだろう・・・なんてナメてかかってもらったら困ります(真顔)。実は『イナズマイレブン』には、複雑な人間関係、生い立ち、因果が渦巻いており、その凄惨さたるやまさに昼ドラの如し・・・。今回はそんな『イナイレ』の中でも女子に絶大な人気を誇る「鬼道有人」の魅力についてをご紹介いたします。


【※一部、ネタバレの内容を含む可能性が御座います。ご注意下さい。】


■シスコン？褒め言葉だね。

　児童養護施設出身の鬼道くんには妹がいるのですが、鬼道くんが現在の養父である鬼道家に引き取られる際、「過去を振り向いて欲しくない」という養父なりの配慮と鬼道くんへの期待から、妹の春奈ちゃんとの一切の交流を禁止されてしまいます。

　そして、世宇子中に一矢報いる為に雷門中に転校した際、何の巡り合わせか雷門中のサッカー部マネージャーをしていた妹の春奈ちゃんと再会します。鬼道くんは「どうしても春奈ちゃんを傍に置きたい」「両親が居ない分、自分が春奈ちゃんを守ってあげなければ」と幼いながらも必死に考え、養父と「サッカーの成績次第では春奈ちゃんを鬼道家に引き取っても良い」という言葉を信じてきたのですが・・・。実際に目の前で幸せそうに微笑み、寂しさの片鱗も見せずに雷門中のメンバーと一緒に必死に戦う春奈ちゃんを見て、自分の独りよがりは終わりだと“引き取る約束”は無かった事とします。

　その後も事あるごとに鬼道さんは妹の春奈ちゃんを溺愛し、大切にしています。春奈ちゃんに彼氏が出来るのは・・・当分先になりそうですね。

■親友と共に目指せ世界一！

　鬼道くんは信頼できる人と打ち解けるという機会が無く、勝利への執念のみでサッカーを続けて成り上がってきました。言葉の端々にも、相手を信じられないゆえに出る冷たい感情や、どう思われようと構わないとばかりに悪役を前面に押し出してくる姿は、見ていて不快というよりも、何だか胸を締め付けられる思いがします。勝つ為ならばラフプレーも厭わないというチームの共通意識の元、最初は円堂達と激しくぶつかり、対立してしまいます・・・。

　その後、自らのチームを滅茶苦茶にした世宇子中への復讐の目的で雷門中へと転校し、雷門イレブンへと加入しますが、そこで初めて“仲間”という存在の心強さ、一緒に笑う楽しさ、そして信頼されるという事の大切さ・大変さを知るのです。悪役根性は変わらないものの考え方自体は徐々に変わっていき、彼はいつしかチームの勝利を大切にし、仲間を思いやる優しい心の持ち主である“本来の姿”を現していくのです。

■女性もいいけど、サッカーだね。

　鬼道くんは“ちょっと悪そうな雰囲気”もあり、女性からの人気はかなり高いです。成人女性ですら「鬼道くんを飼って可愛がって贅沢させてあげないと！」なんて思う人がいる程・・・(一説では名家である鬼道家の鬼道くんと結婚する為に、茶道を習い始めた女性もいるとかいないとか・・・)。

　しかし、作中では殆ど女性関係を見せる事も無く、彼の頭の中心にはいつも愛しい妹の春奈ちゃんしか居ません。成長していく最強無敵の王子様は、この先一体どんなお姫様と結ばれるのでしょうか？

　そのはっちゃけた見た目からは想像出来ない程の重い過去を抱き、それでも必死に自分の目標に向かって戦い続ける健気な男の子「鬼道有人」。環境のせいもあってか、最初は「力こそ全て・弱者は悪だ」という考えを抱えていたものの、雷門イレブンで戦う中で知った“人との触れ合い”により、徐々に人間らしさを取り戻していく姿に涙を流す人も少なくない筈です。

　見た目に惑わされず、しっかりと彼の背景を理解した上で是非もう一度ストーリーを見返してみてくださいね。きっと今まで見えななかった、鬼道くんなりの『イナズマイレブン』が見えてくる筈ですから。


【原稿作成時期の都合により、内容や表現が古い場合も御座いますがご了承下さい】


★記者：める（キャラペディア公式ライター）

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