書店員が選んだ「ジメジメしたこの季節、読めば気分がスッキリする3冊」(1) (2/3ページ)
(書評:川南哲也)
『恋文の技術』
著者:森見登美彦
出版社:ポプラ社
定価(税込み):670円
2)『姑獲鳥の夏』 
意識と無意識、現実と夢、そして――ヒトとアヤカシ。僕達は知らず知らずの内に、ごく自然と、それらの相反する事物のあいだに境界線を引いて生きている。逆に言えば、そうした実際的な行為こそが、僕達の生活を健やかなものとしてくれているわけだ。当然である。誰だって右も左も分からない曖昧な世界になんて生きたくない。しかし京極夏彦の著書『姑獲鳥の夏』の登場人物である中禅寺秋彦は言う。「思い出も、現在も、君の脳がいい加減に作り出したものかもしれないじゃないか」と。なるほど、その通りなのだ。僕達の目が過去に視てきたモノ、そして僕達の指が今触れているモノ、それが幻想ではなく現実なのだということを、一体誰が、どうやって証明してくれると言うのだろうか。僕達が活きるこの世界は実に脆く、儚い。京極のミステリイはその事をいつも思い出させてくれる。背筋の凍るような事件と、爽快な謎解きを添えて。(書評:吉澤享祐)
『姑獲鳥の夏』
著者:京極夏彦
出版社:講談社
定価(税込み):864円
3)『西の魔女が死んだ』 
主人公「まい」が大好きなおばあちゃん、西の魔女は、箒で空を飛んだり、とんがり帽子を被ってはいない。魔女というと、特別な力を持った、選ばれた人だけがなれるようなものを想像するが、彼女が言うその力とは人より歌が上手だったり、足が早かったり、多かれ少なかれみんなが持っているものだという。意志の力を自分でコントロールすること、それが魔女の修行だ。自分で決めた時間に寝起きをし、本を読み、運動をする。