人生を豊かにする「田舎暮らし」のすすめ (2/2ページ)
そんな山田さんは「田んぼのあぜ道にイルミネーションを飾ったらどうか」と提案をする。冬の寒空の下にエアーポートの光が浮かび上がるような、幻想的な風景が想像できる真っ暗な田舎では光は防犯の役目を果たすので、あぜ道が夜の散歩道やジョギングルートとなる。田舎の良さを享受しながら都会的なスマートなライフスタイルを取り入れることができるかもしれない。
実は田舎は不便ではない。工夫によっては都会以上に豊かな生活を得ることができる場所だ。山田さんはそんな田舎に満ちている可能性を自ら発信したいと積極的だ。
■ジョギングしているといつの間にか「脇」がいっぱいに…
山田さんはジョギングを趣味としており、たびたびジョギング時のエピソードが出てくる。
中でも面白いのが、ジョギング中に町の人たちからいろいろなものをお裾分けしてもらうというエピソード。いただいたものを両手で抱えて走ることになるので、ちょうどラグビーの練習のような感じになってしまうのだとか。
また、12月の寒い季節、ジョギング中に薪ストーブ小屋の前を通り過ぎようとすると「ちょっと一杯やっていきなよ」と声をかけられる山田さん。「お言葉に甘えて」と小屋の中に入り、鹿肉とお酒を楽しんでから、ほろ酔い気分で再び走り始める。こうした山田さんと町の人たちの交流は何ともほほえましく、そしてうらやましささえも感じる。
田舎暮らしでは、同じ集落はもちろんのこと、同じ町の中にもたくさんの知り合いが増える。都会では味わえない濃い人間関係が生まれるのだ。
競争が激しく同僚でさえも敵になる可能性のある都会とは違い、田舎では生きるために助け合いの精神を育む必要がある。モノは最低限しかない。だからこそ、人間関係は大切になるのだ。
「何も無いから全てがある」
これは10数年前、山田さんが七宗町にクリニックを開業したばかりのときに、若者の田舎ばなれ対策の一環として県から依頼を受けて書いた原稿の表題だ。
確かに、田舎には「何も無い」のかもしれない。しかし、「何も無い」からこそ、自分が隣人と協力して築いていかなければいけない。そこにこそ、人との交流から生まれる「幸福」があるのではないだろうか。
本書には、人生を豊かにするヒントが満載だ。あなたも「田舎暮らし」の喜びを知り、いずれは田舎に住むことを検討してみてはいかがだろうか。
(新刊JP編集部)