史上最悪のお姫様!? 「腑に落ちない昔話」から子どもに教えられるコトとは
有名な昔話や童話には、大人でもハッとさせられるような教訓がたくさん詰まっていますよね。子どもに道徳を教えるために、読み聞かせをしている方も多いのではないでしょうか。
しかし、その一方でどんなことを教えたいのかわからないような話もありますよね。そんな話からは、子どもに一体何を伝えれば良いのでしょうか。
そこで今日は、『1人でできる子が育つ テキトー母さんのすすめ』の著者、立石美津子が、昔話が教えてくれることは“教訓”だけとは限らないということをお伝えします。
■「史上最悪のお姫様」から学ぶことって?
『カエルの王子さま』というお話をご存知ですか? あまり知られていませんが、あの有名なグリム童話の一つです。簡単にあらすじをご紹介しましょう。
ある日、王女がまりを池に落としてしまいました。そこへカエルがやってきて、「自分と友達になってくれるなら、池に落としたまりを拾ってきてあげよう」と言います。王女は正直、カエルとは友達になりたくないけれど、まりを取り戻したい一心で、その条件を飲みました。
カエルは約束通り、まりを王女に渡しましたが、王女はまりを取り返した途端、約束を破り、カエルを置き去りにして帰ってしまいます。
それでもカエルは自力で王女の城にたどり着きます。王女はしぶしぶ、カエルと一緒に夕食をとるものの、すぐに寝室に戻ってしまいます。すると、カエルは寝室にまであがり込みベットの中にまで入ってきたのです。
カエルの図々しさに腹を立てた王女は、カエルを壁に叩きつけます。すると、その衝撃でカエルが立派な王子に。カエルは魔法をかけられた王子だったのです。立派な王子を見た王女は、一目で王子が好きになり、二人は幸福な結婚をしたのでした。めでたし。
……相手によって態度を変える、“史上最悪のお姫様”と感じたのは筆者だけでしょうか。
この話は、一体どんな教訓をもって書かれたのかさっぱりわかりませんよね。だから、同じグリム童話の『赤ずきん』や『狼と七匹の子ヤギ』ほど有名にならなかったのかもしれません。
でもこの姫、とても人間臭くて、共感できる部分があります。自らの願いを叶えるために守れない約束をしたり、平気で約束を破ったり、相手の見た目で態度を変えたり。実に身勝手な行動ですが、自分の心に正直な人間の真の姿を見事に表している話と言えるでしょう。
■乙姫が浦島太郎に「玉手箱」を渡したのはナゼ?
日本の代表的な昔話『浦島太郎』にも注目してみましょう。
いじめられていた亀を助けた浦島太郎が竜宮へ行き、手土産に渡された玉手箱を開けてお爺さんになってしまったというこの結末。
この話を聞くと、子どもは「どうして浦島太郎は亀を助けたのに、おじいさんになってしまう煙入りの玉手箱を乙姫は渡したの?」と質問することが多いようです。
大人は「(開けてはいけないという)約束を破ると、大きな罰が待ちうけているのよ」と説明したくなりますが、子どもが知りたいのは「なぜ、開けるとおじいさんになるような玉手箱を渡すのか」というところ。
“浦島太郎は種付けのためにさらわれ、地上に帰ってから浮気をしないように玉手箱を渡された”といった説もあるようですが、これでは子どもは理解できませんよね。ご褒美のおみやげなのに、浦島太郎が少しかわいそうな気がします。これも、なんだかすっきりしない話の一つですよね。
■「教訓」はいちいち説明しない
そもそも、物語や昔話が全て“未来の子どもたちの道徳教育のために”と思って書かれているわけではありません。後世になってから、子どものためになる“教訓”めいた話を中心に絵本が作られたため、“童話や昔話=教訓”という認識が生まれたのではないでしょうか。
ですから、“教訓”が有名な昔話を読み聞かせる時も、「だから約束を守らないといけないのよ」「お友達に優しくしないといけないのよ」と一言付け加えてはいけません。
子どもたちは、大人の知識や常識にとらわれない自由な発想でいろんな受け止め方をしています。文章を読むだけでも十分伝わりますから、“読んだら読みっぱなし”にすることもポイントですよ。
いかがでしたか。
たまには『グリム童話集』や『イソップ物語』などのあまり知られていない話を聞かせて、人間社会を疑似体験させてあげても良いかもしれませんね。