『マッドマックス』が人気を博している理由とは? 世紀末映画が2015年に教えてくれたこと (2/3ページ)
ジェットコースターが落下する直前のように、この先にある恐怖感は明確に感じているが、実際にこの先で何がどのように襲ってくるのかはわからない、そんな、ワクワク感と緊張感であっという間の2時間が過ぎてしまう。
しかも、マックスが武骨で口数が少ないことや、物語としては逃避行が主軸となっていることで、「なぜ」「どうして」という疑問よりも、死地をくぐり抜けてゆく緊迫感に焦点を絞りやすくさせている。
そうした中でも、主演のトム・ハーディさんの演技からはマックスの人となりが伝わってくるし、徐々に仲間内での信頼関係が生まれてゆく様子にも気づかされる。
ストーリーやキャラクター設定などの説明を最小限にとどめることで、観客の意識を各瞬間ごとのアクションや壮大な演出に惹きつけることを可能にしているのだ。
ジョージ・ミラー監督の魔術
本作を手がけたジョージ・ミラー監督は、これまでの「マッドマックス」シリーズのほかに、ペンギンの冒険を描いた劇場アニメ「ハッピーフィート」シリーズの監督を務めている。
そのほかにも、動物映画の傑作『ベイブ』の脚本なども手掛けており、ファミリー向けや子ども向けの映画づくりにも長けていると言えるだろう。
そんな幅広い客層の心をつかむミラー監督の手腕にかかると、30年前に一世を風靡した昔ながらの作品も、現代的感覚に見事に昇華させられている。
2015年に独創的な娯楽映画を生み出すには
映画や映像が飽和している現代において、先述のジェットコースターのような感覚を生むミラー監督の演出は世相を反映したものではないだろうか。
誰もが、スマホで映像を撮ることができるなど、映像自体が昔よりも多く生産・消費されていく中で、昔に比べると現在の観客の映像体験は豊富だと言える。
そうした状況下では、古典的な起承転結という映画の構造や演出は、観客にとって目新しいものではなくなっているだろう。