「中国という言葉すら使えない」強まる言論統制は第二の文化大革命か (2/2ページ)
中国政府に盗聴されている?
彼の家庭の状況は、僕の家庭とも凄く似通っています。僕の親は文化大革命を経験した世代なので、とりわけ反政府的な活動に対してトラウマを持っています。例えば、現在、僕は日本に滞在していますが、親に対してスカイプでこう話したりすることがあります。
「日本の食品は安心安全だけど、中国の食品は毒だらけだね」
「中国の空気は悪いから、外出は控えたほうがいいよ」
「中国政府はGメールを遮断しちゃったから、メールが使えないのでは?」
すると、親は激怒して、「中国という言葉を使うな!」と怒鳴りたてます。それ以降、僕は親と会話する際は、メールでもスカイプでも「中国」という言葉を使用しないように注意することになりました。
日本に滞在している中国人の中にも同様の経験をしたことがある人がたくさんいます。彼らは、「中国」「六四」「共産党」「中共」「習近平」といった言葉を使わないように親から指示を受けています。僕らの親たちはいつ何時、中国政府に盗聴などされて、それで目を付けられてしまうのではないかと恐れているのです。ましてや中国が敵国だと位置付けている日本に子供たちが滞在しているわけですから。
これは文化大革命世代である親のトラウマと言っていいでしょう。さすがに日本に滞在しているという理由だけで、そのメールやスカイプなどを盗み見られていることなどないと思うのですが、親の中には「音声識別ソフトと文字識別ソフトでタブーワードが引っかかる」と主張する人たちもいます。これは、中国人の多くが信じている都市伝説です。
僕らはこのように、中国共産党が支配するトラウマが渦巻く国に生きているのです。
著者プロフィール

漫画家
孫向文
中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の31歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。近著に『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)
(構成/杉沢樹)