中国人が見た国会前デモ「アジア平和に安保法案は不可欠」 (2/2ページ)
こうした斬新なデモに衝撃を受けたのは事実ですが、正直に言えば、何だか、そのスタイルも言葉も軽薄だなあと思いました。僕の目には、大学サークルの野外ライブというか、遊びの延長のように見えたのです。でも、彼らには若さや勢いがあり、多くの左側の民衆を惹きつけていましたし、マスコミもたくさん集まっていました。
ちなみに、僕も王先生も、安全保障関連法案の衆院通過には大賛成です。中国共産党に関しては、「PEACE」「NOT WAR」「×●▽□×?%$」などと英語で叫んでいてどうにかなるような相手ではありません。
それはウイグルやチベット、そしてフィリピンに対する中国の態度を見ていればお分かり頂けるでしょう。例えば、拳銃を持って、力によって不法を働いているような輩に対して、「僕らは平和主義だから、そんな君たちのことも理解するよ」なんて言っていると、どんどんいいように搾取されちゃいますよ。
今、日本がアメリカとがっしりと手を組み、中共というならず者を牽制することは、戦略的に正しいことだと思います。「PEACE」「NOT WAR」というのは、今回の安全保障関連法案によって成し遂げられるものだというのが、僕と王先生の認識です。
僕らは、今回、中国の人権弁護士の解放を求めてデモをしましたが、今や弁護士だけに限らず、チベット人にしてもウイグル人にしても、民主活動家にしても、たくさんの中国人が中国共産党によって虐待を受けています。僕らは、日本という国にそういう中国の不正行為に対して明確にNOと言える国、更に言えば「アジアの警察」になって欲しいのです。アジアの平和を守るためには、相手が怯むような「力」が必要なのです。
「SEALDs」の子たちはまだ学生だから仕方ないのかもしれませんが、今後は、僕らが過ごしてきた中国という国の本質を見た上で、そこから更にもう一歩、考えを進めて欲しいと願ってやみません。SEALDsが望む「平和の実現」というのはもちろん否定されるものではありません。
ですが、その方法論として、「9条の遵守」と「アメリカとの関係強化」では、どちらが日本という国を守ってくれるものであるか、そして、アジアの平和を実現させるものであるかは、僕ら中国人の目から見れば火を見るよりも明らかだからです。
著者プロフィール

漫画家
孫向文
中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の31歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。近著に『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)
(構成/杉沢樹)