ヤマハ「 E-Vino」登場で電動バイクマーケットは花ひらくのか
ヤマハ発動機は5年ぶりとなる電動バイクの新車 E-Vino(イーヴィーノ)を発表、8月20日より発売する。新車といっても名前から分かるように人気の原付スクーター Vino(ヴィーノ)の電動版。デザイン、フレームはまったくそのまま、駆動系を内燃機からモーターに置き換えた公式コンバートEVモデルといってもよいだろう。E-Vinoについて詳しく見ていきたい。
■ 国内電動バイク市場はボトム

ヤマハ発動機は2010年、電動バイクEC-3を発売している。電動バイク市場が拡大するかと思えた2010年以降、逆に売り上げは逓減、市場縮小にむかったように見える。この統計は自工会系の数値であり、一般的にみられる中国製電動バイクの販売台数は含まれてない。
市場が縮小したのにはさまざまな問題点があげられる。消費者の期待に応えられるほどの商品性がなかったこと、特にバッテリーの充電や航続距離といったところで不満点があげられた。また一気に輸入された中国製電動バイクは安いものの、重くてエネルギー密度の低い鉛蓄電池を使うことや、品質が悪いことから電動バイクに対するイメージを棄損していたといっても過言ではない。
今回ヤマハは人気バイクVinoを使い、電動バイクに「再挑戦」する意気込みだ。
■ 電動バイクの再定義

自動車、自転車、バイクなどの乗り物はすでに様々市場に出ておりそれなりのポジションを築いている。特に昨今電動アシスト付き自転車が人気で、ヤマハ発動機はリーディングカンパニーとして市場を引っ張る立場である。
その中で改めて電動バイクの新車を投入するにあたり、他の乗り物の領域と重複しないようにと、利用シーン、ユーザーを再定義した。特に5km圏内のコミューターとして位置付け、それに応じてバッテリーを最適化するなど、エンジン車に比較して12kgも軽量化することに成功。これによりメインターゲットである若い女性でも気兼ねなく取り回せる。
特に女性ユーザーはガソリン給油を面倒、汚い、臭いと敬遠する傾向にあり、排気ガスを出さないモーターとあいまってクリーンかつエコに寄与する電動バイクへの評価は高まることだろう。
■ E-Vinoの使い勝手
Vinoからエンジン、ガソリンタンクを取り去り、モーターユニットを後輪に装備。元々メットインのスペースは縦に深くした上で、バッテリを前に配置。後方スペースには荷物や予備バッテリーをつむことができ、イザというときは交換すれば航続距離は2倍となる。なおバッテリー1本あたり 30km/h定地走行で最大29km走行可能だ。バッテリー重量は6kgで、女性でも両手を使えば持ち運びは難しくない。

バッテリーを格納する関係でメットインはできなくなるが、シート下にはホルダーを装備、ヘルメットを掛けることが可能で使い勝手は大きく損なわれていない。縦に深くなったスペースはフランスパンや長ネギといった長いものでも収納ができ、便利に使えることだろう。
■ E-Vinoの乗り味

気になるのはその乗り味だ。実際に室内の試乗コースで走行してみると、アクセルを全開にしても唐突に加速することもなく、するするとスムースにスピードが乗っていく。モードはスタンダード、パワー、そして坂道などで30秒限定で使えるブーストの3つが用意されており、走行シーンにあったモードを選択可能。運転に慣れていない女性でも急激な加速といった原付の癖に戸惑うことなく走れる。
狭い試乗コースでもすっと制限速度の30km/h近くまで加速することができ、無音で加速する様は新鮮。当然アイドリングもなく、排気ガスもない。特にエンジン車と比べリア回りが軽いためにスタンドをかける場合も余裕。駐車時に少しずらすといったときでも手軽である。
■ 電動バイクの切り拓く未来
最近自転車が人気であり、特に女性は電動アシスト付き自転車を多く利用している。6月1日以降、特に「自転車は車両、車道を走る」ことが徹底される傾向であるが、都内など道が狭い場所や国道246号や20号といった交通量が多い場所ではかえって交通の邪魔になったり、危険なケースが散見される。
自転車はヘルメットの着用義務がない、方向指示器、ブレーキランプがないなどいわゆる保安基準部品が不要であるが、車道での交通ルール遵守は実質原付自転車と同等である。
簡単に40km/hほどでる自転車も多く、そういった意味では30km/hに制限される原付よりもフリーダムではあるが、危険度は高いともいえる。
交通ルールを知らない、守らない自転車が多く見受けられ、そうなるとこれほど危険な乗り物もない。今後より自転車の取り締まり、規制は高まっていくことだろう。

電動バイクは自転車同様エコでクリーンな乗り物である。充電が必要とはいえその電気代はわずかで、電動アシスト付き自転車と同様。歩道は走れないが、ヘルメット着用の上、スムースに車道をいくことができる電動バイクは、今後より活躍の場が広がるに違いない。
ヤマハはパッソルで女性の圧倒的支持をうけ、原付市場を切り拓いた。PASも同様である。E-Vinoで再び市場を切り開けるのか。今後の動向に注目したい。


























