昼の12時までは食べちゃダメ!朝だけ「断食」が健康にいい理由
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食事
朝からしっかり食事をすることが健康につながると信じている人に対して、「それは大きな間違いです!」と真っ向から異論を唱える本が出ています。
『朝だけ断食で、9割の不調が消える!』(鶴見隆史著、学研パブリッシング)がそれ。酵素栄養学の権威であるクリニック院長が、未病で悩む患者に向けて書いた一冊です。
朝食を抜いて半日断食をすると体の不調がなくなり、腸内環境が整ってダイエットにも有効なのだとか。いいことずくめの朝食抜き生活は、どう成立するのでしょうか。
■現代の朝食時間は古来の生体リズムと合っていない!
いまの日本は、街も人も24時間休むことがなく、夜中でもコンビニや飲食店が営業しています。
しかし人間の内臓には太古の昔から体に刻みこまれている生理的なリズムがあり、それを守って生活しないと「排泄・消化・吸収」のバランスが崩れてしまうのだそうです。
なお、24時間のなかでの人体の生理リズムは、3つに分けられるといいます。
(1)正午から午後8時までは「栄養補給と消化」の時間
(2)午後8時から午前4時までが「吸収と代謝」
(3)残りの午前4時から正午までを「排泄」の時間
このリズムを崩さないためには、食事の時間や就寝、起床の時間をある程度決めて、それを守るようにするのがポイント。睡眠を気にする人は多いものの、食事のリズムを守っている人は少ないと著者は説きます。
普段私たちが朝食を摂っている時間帯は、「排泄」の時間。本来よい排便や発汗をする時間帯に朝食を摂ってしまうと、健康を維持するために重要な酵素が充分に働かず、消化不良を起こすというのです。
ちなみに、夜遅くに食事を摂ると太りやすいのも、夜8時以降は体が「吸収モード」になっているから。これには納得せざるを得ません。
また著者は、朝からしっかり食べることは、起きてすぐにフルマラソンをするくらい体に大きな負担をかけている行為だと警鐘を鳴らします。
■朝食は目覚めていない内臓に食べものを無理に入れる行為
体は、夜中から朝にかけて吸収と代謝を行っており、眠っている間にも健康な体がつくられています。朝は胃や腸を活動させ、吸収できなかった余分なものを便や尿などの老廃物として排泄させます。
そんな状態の体に、しっかり噛むことすらしない朝ごはんが入ってきたら、消化活動を活発に行わなくてはなりません。
しかし酵素や胃腸もまだ完全に目覚めきっていない状態なので100%の力を発揮できずに、消化不良を起こす原因となります。
また、朝食を摂ることで血糖値の乱高下が起こり、さらなる空腹感で昼も夜も食べすぎてしまうことにもなります。
つまり、「朝食を摂ると酵素不足を招き、不健康な体に一直線。健康になりたいなら1日2食を基本とし、朝は水だけで十分だ」ということ。
■朝食を食べないだけで体に素晴らしいことばかり起きる!
栄養補給と消化に適しているのは、生体リズムでは正午から午後8時まで。ちょうどここで食事を摂っておくことが大事です。
午後8時までに夕食を済ませ、翌日の正午まで食事を抜くと、16時間食事を抜くことになり、約半日の断食になります。食べものが消化されないうちに、次の食べものが体に入ってくるリズムを断つのです。
“朝だけ断食”は実質的に半日の断食をすることになります。消化器官を休ませ、酵素も本来働くべき代謝活動に時間を割くことができるということです。
フランスでは断食を「メスのいらない手術」と呼んで、病気の治療として高く評価されています。断食の効能はさまざまあります。
・潜在酵素が温存される
・内臓を休ませ、腸内をきれいにする
・血液がきれいになり、血流が良くなる
・免疫力が上がる
・体に溜まった毒素の排泄
・体のコリや痛みが取れる
・呼吸器、循環器の働きがよくなる
・眠りが深くなり、目覚めがよくなる
そもそも、いまでは1日3食が当たり前となっていますが、それは江戸時代の中期ごろ以降、つまりここ300年ほどの習慣なのだそう。
それまでは昼と夜の1日2食が一般的で、戦前戦後は食糧不足もあり、しっかりと朝食を摂れるような時代ではありませんでした。
つまり「健康のためにしっかりと朝食を!」といわれはじめたのは昭和40年を過ぎてから。そのころ一般的になった栄養学は、当時肉体労働をする人の1日摂取カロリー目安を4,000kcalともいわれていたのです。
現在の倍近い数値で、明らかに食べ過ぎ。こんな食生活では、健康を害してしまいます。みなさんも、体に負担のかからない食事法や食事の時間帯を見つめなおしてみては?
(文/中田蜜柑)
【参考】
※鶴見隆史(2015)『朝だけ断食で、9割の不調が消える!』学研パブリッシング