我々が地上から見上げる月は、常に同じ面をこちらに見せている。絶対に背中を見せない。
それは、月が地球の周りを約27日周期で公転すると同時に約27日で自転しているからだ、というとそんな偶然があるはず無いとも思えてしまうが、これはどうやら月が若干いびつで、重いほうが地球の重力に引かれているため、そうなっているという説がある。
となると、どうしても月の裏側が気になるが、1959年に旧ソ連の月探査機『ルナ3号』が裏側の写真を初めて撮影した。もちろん静止画だ。
しかし今回、8月5日にNASAが公開したのは、月が裏側を見せながら地球を横切るという動画だった。
■ 太陽と地球の間から撮影された映像
NASAが公開した動画『EPIC View of Moon Transiting the Earth』は、地球から約150万キロ離れた太陽と地球の間にある、ラグランジュ第1点を周回している人工衛星『DSCOVR』が撮影した複数の写真を、アニメーション化したものだ。
米海洋大気庁(NOAA)の人工衛星である『DSCOVR』は、7月16日に地球の手前を横切る月を裏側から撮影した。
地球があまりに色鮮やかに写っているため、まるで月だけモノクロ撮影した映像を合成したかのように地味に写っているが、そこは合成ではない。
撮影はNASAが開発したEPIC(Earth Polychromatic Imaging Camera)というカメラによる。
EPICは紫外線から近赤外線までの10種類の波長で撮影できるカメラで、今回は30秒ごとに赤・緑・青の画像を撮影したデータを、合成することでカラーを再現している。
ところが被写体である月が動いているため、3色の画像を撮影する時間差で位置が移動してしまっている。そのために合成した際にズレが生じ、その結果、月の右側に不自然な輪郭のようなあるいは影のような部分が生じているのだ。