[やまもといちろうのとっておき時事放談]

TABI-LABOが再びガセネタを流して感動稼ぎ|やまもといちろうコラム

画像は『TABI-LABO』より

 やまもといちろうです。先日、間違えて息子が遊びで瓶に入れた尿を飲んでしまうという惨事があり、いまだに精神的に完全には立ち直れていないでおります。

 ところで、かねてから佐々木俊尚さんを編集長に迎えながらも、たびたび微妙な記事を掲載しては叩かれたり面白がられたりしております『TABI-LABO』が、再びやらかしました。

世界が感動した「プロサーファーの失格」。その理由とは?(魚拓)

 内容としては感動的なストーリーなのですが、かなり早くから本件はガセネタであるとして海外では否定のリリースが出され、アルゼンチンのサーファー協会では本件について事実を正す声明まで発表しています。

 当該サーファーは練習時間中に大会とは別の場所で、身体障害者の人を乗せてサーフしたというだけです。もちろん、普通に大会に出場し、失格にもならず成績不足で下位にいただけの話で、感動とは別次元の問題です。

 この辺は海外情報だけでなく(自戒を込めてですが)、間違った情報を提供してしまったときにどう対応するべきなのかというのはネット社会全体の課題だと思うので、本件を見つけたTABI-LABOのライターさんや編集部が「おっ、感動的なストーリーやんけ。掲載したろ」となる気持ちは良く分かります。ただ、それなりに英語圏でも騒ぎになって撤回ネタになっている本件を3ヶ月経過したいまごろ掲載し、感動ストーリーとして爆釣りにしているのはさすがに物悲しいものがあります。

 本件の元ネタは、英語圏の幾つかのサイトが指摘するとおり、ディズニー映画の『カーズ』でレース中負傷したチャンピオンを、主人公が優勝を捨ててゴールインさせてやる逸話を参考にしたものだと見られます。まあ、それでも感動すればいいのだということでシェアの対象にするのは構いませんけれども、日本人の読者がいちいち記事の真偽や事実関係を確認しないままシェアをするのは仕方の無いことで、そういう習性をある意味で悪用して海外の素敵なガセネタを流して「いいね!」ボタンを押させるメディアは、もう少しやり方を考えたほうが長い意味で読者との信頼関係が築けるのではないかな、とは思います。

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