[やまもといちろうのとっておき時事放談]

日本のインドネシア鉄道“失注”は中国の無料モデルが原因

Photo by Kazuhisa OTSUBO via flickr

 やまもといちろうです。そろそろ秋の風が冷たく感じる昨今、1kgほど脂肪が増えました。

 ところで、先日来インドネシアで日本対中国の熾烈な争いになっていたインドネシア国営高速鉄道で、インドネシアが中国案を採用するという日本失注の決定を下したことが報道されました。

「甘く見ていた」親日国で受注競争に敗れた日本

 我らが官邸の主、菅義偉さんもお怒りです。

高速鉄道に中国案採用、菅氏「理解しがたい」

 もちろん、インフラ輸出をアベノミクスの目玉としたい日本政府としても、この受注競争での敗北は微妙なところではあります。すでに報じられている通り、2008年から足掛け8年越しで実現可能性調査から計画立案、具体交渉に至るまで入念な準備を続けてきた日本側としては、実に痛い敗戦だという声があるのも事実です。

 また、インドネシアの親日度に過度に期待した記事論調もありました。一方、南シナ海での領土問題に揺れる中国とインドネシアの間では経済面での結びつきも強まる中で対中観が多様化している点もあります。

 紐解くと、その前の8月にインドネシアで閣僚の大幅交代があり、減速するインドネシア経済のテコ入れのために、中国からの援助を期待するための人事と思われる内容が強く示唆される記事が産経新聞に出ております。つまり、ある程度高速鉄道の建設で日本側に不利な条件は整い始めていた、あるいは、大規模な経済援助を中国から引き出す外交交渉が行われた経緯はあったのではないかと思われるわけです。

インドネシア、知日派貿易相ら6閣僚交代 日本に痛手 中国と争う高速鉄道建設計画にも影響か

 この中国の建設計画は、もともと日本が策定して提出した計画に沿った内容を下敷きに、中国がおもに施工や費用面で譲歩したものが提示されていたと見られ、これが理由で日本案が落ちたのだとすると「そもそも日本が提出した計画を何でまんま中国が〝活用〟して再見積もりしているんだ」という気にもなります。

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