『なにがあっても、ありがとう』(鮫島純子著、あさ出版)の著者は、日本の資本主義の礎を築いた人物として知られる渋沢栄一を祖父に持つ人物。
大正11年(1922年)生まれということなので、今年で93歳ということになります。
つまり本書では、90年以上もの長きにわたって人生経験を積み上げてきた結果、見えてきたこと、わかってきたことを綴っているわけです。
ちなみにそんな著者は、なんとか聖者の教えを乞いたいと思って近所のキリスト協会に通い続けて答えを探し求めたことがあるそうです。
しかし「聖書の御言葉は崇高すぎて」疑問は解けないままだったのだとか。
そして、仏教のお説教を聞いたり、インドの聖者の本を読んだりしても、なかなか納得のいく答えにはたどりつけなかったのだといいます。
しかしその後、たまたま出会った一冊の本によって、人生の心理といえる考え方を知ったのだとか。
その本についての詳しいことには触れられていませんが、どうあれ紆余曲折を経て、現在の考え方に思い至ったということのようです。
だとすれば、ぜひ人生の先輩に聞いてみたいのは、「つらいときの対処法」ではないでしょうか? そこできょうは第二章「つらいことにありがとう」から、役に立ちそうな考え方を引き出してみたいと思います。
■つらいときこそ誠実に向き合うと乗り越えられる
つらく苦しいときは、なかなかそれを受け止めることができず、他者を責めたりしてしまいがち。
しかし著者は、そんな状況に陥ったときに大切なのは、「自分に縁のないことは起こらない」という人生の仕組みを信じることだと説いています。
そうした考え方を信じることによって「乗り越える力」が身についてくると、ただ悲しみに打ちのめされることもなく、「これは自己責任」だと覚悟のうえで乗り越えられるようになるから。
■つらさを感謝の気持ちに切り替える努力をする
そして、人間に生まれたということは、前世で成し得なかったクリアすべき問題が残っているとうことだとも主張しています。