"Tor無敵神話"が日本でも崩壊? アダルト宣伝サイトで大量逮捕事件を考える【後編】

"Tor無敵神話"が日本でも崩壊? アダルト宣伝サイトで大量逮捕事件を考える【後編】

 前編では警察発表の内容を解説し、必要な部分にツッコミを入れる形にさせていただいたが、今回はより深く「いま警察は何をしようとしているのか」について考察したいと思う。

●警察はすでに狙いを変えている

 まず初めに、前編が警察をおちょくるかのような内容になってしまった点を深くお詫びするが、日本の警察は今許されている可能な限りの方法で "ネットを悪用する者" を逮捕しようとしている。 その努力だけはお世辞抜きで認めるべきだ。

 しかし、何をするにも法の整備が間に合っておらず、コレという決定的な方法論を見出せずにいるのも事実であろう。 だから中途半端なIT技術と旧時代的な人海戦術を組み合わせてみたり、ターゲットにしたアダルトサイト本体に手が出せないから、そこが金を生む要素になっている小さなパーツを一生懸命に潰して回っているのである。

 こう書くとさらにおちょくりに輪をかけたように感じられるかもしれないが、決してそうではない。 こうした手法を続けて行けば、最後に勝つのは絶対に警察だからだ。 腐っても公務員、国家権力なのだから、地道な作業でも手数の多さと粘り強さを活かしてひたすら成果を積み重ねて行けば、兵糧攻めにギブアップするのは悪徳業者の方である。 警察は、言ってみれば豊臣秀吉が得意としたような、大規模な兵糧攻めによる攻城戦をやろうとしているのかもしれない。

 例えば、無修正系のアダルトサイトをターゲットにするとして、そのサイト自体はあの手この手で完璧に日本の法の網をすり抜けていたとしよう。 しかし、そこに利用者を誘導するバナー広告などを潰して回れば、いくらかは入り口が減らせる。 また金欲しさに無茶をやるコンテンツ提供者(撮影者・アップロード者)を潰して回れば、そのサイトのコンテンツ数と、それが生み出す金を減らせる。 これを相手が音を上げるまで続ける事が可能というのが、警察の真の強さなのだ。 この戦法には誰も勝てる訳がない。

 実際に、FC2の場合は実質的な経営者とされる人物が逮捕されはしたものの、特に罰を受けた様子はなく、実際に摘発・逮捕され有罪判決を喰らったのは、無修正のエロ配信をしていたようなコンテンツ提供者だけだ。

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